ドラマ『アンナチュラル』 女性蔑視に「スカッとしない誠実なシナリオ」が刺さる
法廷の場で女性蔑視に苦しむ、女性法医学解剖医のミコト。彼女が取った最善策とは…
石原さとみが主演を務め、『逃げるは恥だが役に立つ』などを手掛けた野木亜希子氏の脚本が称賛を浴びている、TBS系ドラマ『アンナチュラル』。
石原演じる主人公の三澄ミコトは、不自然死の究明にあたる法医学解剖医。26日放送の第3話では、ミコトが殺人事件の検事側の証人として証言台へ。
その中で、世に蔓延る様々な不条理や差別が風刺され、インターネット上で反響を呼んでいる。
■「若い女性」への非情なラベリング
ミコトが務めるUDIラボにて、過去に「刺殺」と断定した女性ブロガーの遺体、及び彼女の殺人事件について、「検事側の証人」として出廷してほしいとの依頼が。
容疑者は、被害者の夫(温水洋一)。妻からモラルハラスメントに苦しみ、容疑を認めているという。
しかし、ミコトは法廷の場であげられた様々な証拠と、夫が凶器として使った包丁が一致しないことに気付く。「不自然死を許さない」という心念から、証言台で「真の凶器」の存在を示唆。
粗方筋書きが決まっていた裁判をひっくり返され、裁判官らも一斉に嫌悪感を示し、ミコトは「有罪率99%」のやり手検事(吹越満)を敵に回してしまうことに。
次の期日で、検事はミコトよりも解剖実績の多い高齢男性解剖医を引き合いに出し、「若い女性が故に未熟」「女性は感情的」など、女性蔑視の発言を繰り返し、さらには週刊誌に「ヒステリックな女性解剖医」などと書かれてしまう始末に。
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■最善策を講じた冷静な勝利
週刊誌に「男VS女」と煽られ裁判自体が炎上する中、ミコトと共に真の凶器発見に躍起になったのは、裁判を傍聴していた臨床検査技師の東海林(市川実日子)。
2人で決定的な証拠を掴むも、公判の証言台に立ったのはミコトではなく中堂。他方でパワハラを訴えられていた彼と条件交換をしたのだった。
ミコトから託された証拠と、威圧的かつ的確な中堂の証言によって、真の凶器と真犯人が特定。さらに中堂は「人なんて、皮をはいで切り開けばただの肉の塊」と性別にこだわる法廷に苦言を呈した。
ここまでならスカッとする展開だが、週刊誌には「尻尾を巻いて逃げた」と揶揄されてしまうミコト。しかし、真実を究明できたミコトにもう執着はなく「言わせておけばいい」とあしらった。