小説にも登場する野積杜氏の里で 少数精鋭のチームで造る『越乃八豊』の蔵
野積杜氏は、宮尾登美子の小説『蔵』にも登場。
越後杜氏は新潟県内の地域ごとに、三島(さんとう)杜氏、刈羽(かりわ)杜氏、頸城(くびき)杜氏の3流派に、または、三島杜氏を越路杜氏と野積(のづみ)杜氏の2つに分けて4流派とする考え方がある。
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■宮尾登美子の小説『蔵』にも登場する野積杜氏
宮尾登美子の小説「蔵」に登場するのは、この野積杜氏、寺泊野積を拠点とする。 越後酒造場の蔵があるのは、まさしくその野積杜氏の里。
「この蔵の酒の味を磨き上げたのは、野積の名杜氏・青木礎(もとい)です」と、代表取締役社長で12代目当主の森谷薫さんは語る。
そして、神代の昔、出雲の国から舟で新潟に上陸した集団が越後を平定、野積に定着して酒造りを始めたと、社長は古の民話を紹介した。
出雲人たちは農業や野積海岸で漁業をしながら、冬場は酒造りをして生業とした。それがいつしか野積杜氏集団を形成したのだ、と。
前は日本海、後ろは弥彦山。海と山の間にわずかな田んぼ。冬になれば雪に明け暮れる日が続き、海は遠吠えを繰り返す。そんな厳しい自然環境が、野積を杜氏の里にしたのだともいわれている。
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■名杜氏から受け継いだ技で
現在、越後酒造場の杜氏役を担うのは製造部課長の西島徹さん36歳。杜氏になって2期目を迎える。 出身は上越市にあった新潟県立吉川高校。
手に職をつけさせたいという親の勧めもあって醸造科に学び、2005年からはこの蔵で青木杜氏のもと、越後本流ともいえる野積流の教えを受けた。
野積流の特長は酒母造りと温度管理にあるそうだ。酒母を仕込む際に入念に櫂入れをするのは、過剰な酵母の働きを抑えるため。
そして朝晩と昼間の温度差が大きくなるように、タンクの温度を管理する。こうしてできる酒はきれいな味わいになるという。