根知谷のテロワールを語れる酒 『Nechi』ブランドを立ち上げた気鋭の蔵元が問う独自路線
ワインのように「テロワール」にこだわる根知の酒蔵。
『根知男山』を醸す渡辺酒造店は、新潟県の西端、富山県との県境に位置する糸魚川市の根知谷にある。
画像をもっと見る
■酒米づくりに向いた天賦の地形
長野県白馬岳を水源とする姫川の支流・根知川沿いの山間地で、糸魚川駅から出る大糸線に乗れば根知駅まで15分ほど。日本百名山の雨飾山に源を発する根知川沿いの地は、近隣の谷の中で唯一東西に開けたコメ栽培の好適地。
両側を山に挟まれた緩やかな傾斜地は、東の駒ヶ岳から昇った陽が西の日本海に沈むまでの間、隅々にまで燦々と降り注ぐ。
十分な日照時間と積算温度、山風と川風がもたらす冷涼な空気、山々の雪解け水から生れる森林のミネラル豊かな水と、酒米作りに十分すぎるポテンシャルを秘めている。
関連記事:鬼父が小屋で「お仕置き」 9時間正座を強いられた8歳児のヒザに恐ろしい現象
■根知谷の田んぼを守る
この地で1868年に創業、現当主は6代目の渡辺吉樹蔵元だ。「酒造りで大切にしていることは何ですか?」と尋ねると、「根知谷の田んぼを守ることですよ」と即座に答えが返ってきた。
この一言が全てを物語っていた。コメ作りから酒造りまでの一貫体制、酒蔵のドメーヌ志向。そしてテロワール・セパージュ・ビンテージで表現する日本酒の発信。
次々に繰り出される熱意に満ちた言葉からは、根知谷への隠しようもない郷土愛が滲む。