インフルエンザでも「マスク2枚重ね」で出勤強要 周囲にも迷惑すぎるブラック企業の実態
さらには「恵方巻きの購入ノルマ」まであるとんでもない職場だ。
■弁護士の見解は…
こうした働き方に法的な問題はないのだろうか。鎧橋総合法律事務所の早野述久弁護士に聞いたところ…
早野弁護士:労働者は、原則として有給休暇を自由に取得することができ、会社が有給休暇を取得する日の変更を求めることができるのは、事業の正常な運営を妨げる場合に限られています(労働基準法39条5項)。
まめもちさんが抗議したとおり、「辞めるとき、又は家族の介護などの理由」がないと有休を認めないという会社の説明は間違いであり、このような理由で実際に従業員による有休の取得を妨げた場合には労基法39条違反になります。
早野弁護士は、「労基法が定める刑罰」についても言及した。
早野弁護士:ましてや従業員がインフルエンザに感染した場合は、他の従業員への感染を防止するために、むしろ会社から欠勤を指示するのが通常であり、有給休暇を取得させないなど言語道断です。
あまり知られていませんが、労基法39条違反には刑罰が定められており、このように会社が有給休暇の取得を妨害した場合には、6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金が科せられます(労基法119条1号)。
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■「購入ノルマ」は強要罪の恐れも
「恵方巻きなどの購入ノルマ」は、労基法ではない刑法に抵触する恐れもあるという。
早野弁護士:また、イベント時に会社の商品の売れ残りが生じたとしても、従業員が購入する義務など当然ありません。
従業員に売れ残った商品の購入を義務づけることは、購入しなかった従業員の名前を掲示板で公表することなどにより、その従業員の名誉を傷つけることが前提とされていた場合には、脅迫により人に義務のないことを行わせたものとして強要罪(刑法223条)に該当する可能性もあります。
まめもちさんは、労基署に相談することはなかったようだが、早野弁護士はこうした場合は申告することを勧めた。
早野弁護士:さらに、公休日に出勤した場合には、従業員は当然その分の賃金の支払いを請求できますし、それが法定休日(労働基準法35条)にあたる場合には、休日割増賃金を請求することもできます(労働基準法37条1項)。
会社がこれに違反した場合には、6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金が科せられることになります(労基法119条1号)。まめもちさんが労基署に労働基準法違反の事実を申告していれば、おそらく調査の対象になっていたでしょう。
今回募集されたブラック企業エピソードは、30日に大賞が発表の予定だ。
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(取材・文/しらべぇ編集部・タカハシマコト 取材協力/日本リーガルネットワーク)