9時始業なのに6時出社、時給400円で13時間労働 非常識を強要するブラック企業の恐怖
ブラック企業は入社したときから「おかしな部分」があるケースも。
■親戚の死去にも暴言
ブラック企業とは切っても切れないパワハラだが、しゃんしゃんさんの場合も同様。しかも、人の命にまつわる暴言だった。
「そして上司に詰め寄った私は、パワハラなど当たり前。次の日から全く仕事をさせてもらえませんでした。
そしてその数ヶ月後、近しい親戚が亡くなったため、有給を使おうと上司に理由を説明すると、『この忙しい時期に死ねる親族がそれなら、子供はこれか。そいつの顔が見てみたい』と吐き捨てられました。そのことがきっかけでA社を去りました」
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■弁護士の見解は…
鎧橋総合法律事務所の早野述久弁護士は、今回のケースも一刀両断する。
早野弁護士:しゃんしゃんさんが勤めていた会社は、労働時間管理の意識がまったくない典型的なブラック企業といえます。
まず、会社が入社初日の研修の開始時間を(定時前である)朝6時と指示した場合、業務命令による朝残業が発生するわけですから、会社は参加した新入社員に対して朝6時から賃金(残業代)を支払う義務があります。
「新入社員は会社に早く行って待っているのが当たり前」などという理屈で、残業代の支払いを免れることはできません。
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■行政指導やパワハラの違法性も
しゃんしゃんさんのケースには、さまざまな法的な問題もあるという。
早野弁護士:また、しゃんしゃんさんは、9時から22時ないし23時まで勤務していたにもかかわらず、定時である17時以降の残業代が支払われていません。これも当然、残業代の不払いとなります。
このような残業代の不払いは、労働基準法37条に違反し、違法です。労基署に申告すれば行政指導の対象になりますし、悪質な場合は刑罰(6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金)が科されます。
ブラック企業には付き物のパワハラも問題だ。
早野弁護士:さんざんサービス残業をさせておきながら、親戚が亡くなった時に、「この忙しい時期に死ねる親族がそれなら、子供はこれか。そいつの顔が見てみたい」などという暴言を浴びせるのは言語道断です。
上司に抗議した翌日から仕事をさせてもらえなくなったことも含めて、このような上司の言動はパワハラとして違法になる可能性が高いでしょう。
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(取材・文/しらべぇ編集部・タカハシマコト 取材協力/日本リーガルネットワーク)