「フランスは北野武監督に恋している」 日本文化をフランスの「知の巨人」が語る
ジャック・ラング元文化大臣に日本文化や映画のフランスでの評価について迫る。
■日本映画はとても偉大
ラング:日本は多くの創作作品を生み出しています。 今年カンヌ国際映画祭で最高の栄誉『パルムドール』を受賞したのは、日本の映画『万引き家族』の是枝裕和・監督です。
日本映画はとても偉大です。 私自身、文化大臣だったとき、日本とのプロジェクトを支援しました。 とくに黒澤明の最後の映画『乱』の製作を援助し、パリの真ん中、ポンピドゥーセンターの正面で『乱』を上映したのです。
それに、今日は日本の方とお会いするので、三宅一生氏のシャツを着てきました。三宅一生はすばらしい友人です。洗練され、才能にあふれ、創造性に富んだ、魅力的な男です。
もっとも私は、フランスの名において彼にレジオンドヌール勲章を授与するため、今年前半に日本へ行きました。彼の才能は並はずれています。日本には他にも服装デザイナーがいますね。日本は私がとても敬愛する国なのです。
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■日本でもLGBT理解は一気に進む
———最後に、LGBTと政治に関して質問させてください。日本では、自民党の杉田水脈衆院議員がLGBTを「生産性がない」と発言して、問題視されました。フランスのLGBT政策について教えてください。
ラング:フランスにおいて、とにかく我々、とくに同性愛者の権利に対する理解を広げるために常に闘ってきた私は、男性と女性、女性と男性は平等な権利をもっており、パートナーを選ぶ自由を行使することができると考えています。
各人の実践を尊重しなければなりません。異性愛者と同性愛者の平等について段階的に理解を広げるため、フランスで積極的に活動しています。
毎年、我々は、というより私は、パリを横断する大きなゲイプライド、大規模なデモを支援しています。毎年ゲイプライドに参加しています。
「同性婚」が法的に認められ、結婚する権利が認められたにも関わらず、残念ながら時折、社会において同性愛嫌いの反応が見られ、我々はそれと闘わなければならないからです。
「民主的な社会においては、各人がお互いを尊重しなければならない」と、常に説明する必要があります。 日本の状況はよく分かりませんが、おそらくフランスより厳しいでしょう。
たとえ日本において古くは、とくに封建制度において、実践をより尊重した歴史があったとしても、現状はもっと厳しいでしょう。ただ、事態は前進し、進展すると思います。
日本の国民は男性も女性も聡明なので、同性愛者の権利が十分に、そして完全に認められる日が来ると思います。そう期待しています。
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(取材・文/France10・及川健二)