閣僚は次々と辞任し、パリでは激しい大規模デモ 低支持率に悩むマクロン大統領の行く末
昨年の仏大統領選挙で30代の若さにして当選を果たしたマクロン氏。当初7割に迫っていた支持率は2割台に低迷し、閣僚の辞任も相次いでいる。
■「政権の看板」になることを拒絶
環境派で脱原発依存派の動物愛護・環境保護の観点から狩猟に反対していたのに、マクロン大統領は狩猟の免許証を400ユーロから200ユーロへとディスカウントした。ユロ氏のメンツは丸つぶれ。
フランスは「原発大国」で原発58基を有し、電力の75%を原発に依存している。だが、オランド前政権の時代には「2025年までに50%削減」を公約し、政権末期に最古の原発2基の閉鎖を法律化した。
ユロは大臣就任2017年7月10日の記者会見では、「2025年までに(58基のうちの古い年代の稼働の原発を)最大で17基を削減する」と言明した。しかし、マクロン大統領は脱原発依存にも消極的だった。
実際、マクロン大統領は27日、国内の発電に占める原発依存度を「2025年までに50%に削減する」とした政府目標を10年先送りにし、35年を目標年次にすると発表した。ユロ氏の側近は「単なる政権の看板になるのを拒絶して辞任した」と語った。
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■政権ナンバー2の辞任
さらに、マクロン氏にモノが言える数少ない大臣でナンバー2の社会党出身のベテラン、ジェラール=コロン内務相が10月3日、辞任した。
コロン氏は「2020年のリヨン市長選挙に出馬するため」と説明したが、「マクロン氏の独断専行のやり方にとうとう嫌気がさした」というのが大方の見方だ。
辞任会見でフィリップ首相と並んだコロン氏は満面の笑みを浮かべて話し、フィリップ首相は苦虫を噛み潰したような表情だった。
■来年6月の欧州議会議員選挙が審判
さて、マクロン政権は今後、どうなるのか。2019年5月の欧州議会議員選挙で審判を受けることになる。在仏ジャーナリストが語る。
「欧州議会議員選挙は完全比例制。政党の支持率が議席にほぼ正確に反映される。第一党はサルコジ与党だった共和党になるのが確実視されています。
第二党、第三党をジャンリュック=メランション党首&下院議員が率いる急進左派政党『服従しないフランス』とマリーヌ=ルペン下院議員&党首が率いる極右政党『国民連合(旧・国民戦線)』が争います。
そして、昨年の大統領選挙と下院議員選挙で解決的打撃を受けた社会党とマクロン与党『共和国前進』が4位、5位を争うというお寒い展開です。
当然、大統領を輩出している政党だから、第一党にならなければいけないのに、支持率は低迷し、下手すれば5位になってしまいます。
もし、そうなれば、マクロン大統領は首相を交代させ、内閣を大幅改造して、政権浮揚を図る。しかし、まず、上手くいかず、このまま、2022年までレームダック化していくでしょう」
欧州統合を牽引してきたのは仏独両国。ドイツではメルケル首相が政界引退を表明した。フランスではマクロン大統領が瀕死になりかねない状況である。
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(取材・文/France10・及川健二)