佐波優子「チャンネル桜」キャスターが語る 家族のように国民に寄り添われた天皇皇后両陛下
今月で終わりを迎える「平成」とはどのような時代だったのか。天皇皇后両陛下の歩みに注目して、佐波優子氏に聞いた。
■戦地を巡った「平和の旅」
———今上陛下の「平和の旅」とも呼ばれる、たとえばサイパン訪問・ペリリュー島訪問などをどうご覧になりましたか。
佐波:先の大戦では240万人の日本の兵士が戦死しました。そして未だ112万5千柱のご遺骨が戦地に残っています(*2)。遺骨収容は毎年行われ、有志が遺骨を日本に帰国させるためにかつての戦地に赴いています。
ご遺族の方々の中には「父さんの遺骨を日本に帰してやらなければ、まだ俺の戦争は終わらないんだ」と話す方もいます。
戦争が終わり70年以上経過した日本ですが、兵士の遺骨が残されてご遺族が心を痛めているうちは、戦争の傷跡はずっといえていないと言えるのではないでしょうか。
そのような中、両陛下が戦地を訪れることは、ご遺族にとっても、まだ現地に眠る遺骨やもう日本に帰還できた遺骨にとっても、これほどの大きな追悼と慰霊はないと感じます。
以前、父親がフィリピンで戦死したというご遺族が、私にこう話してくれました。「俺はもう年だから体も悪くなって遺骨収集には行けないよ。それが悔しくてならない。それでも両陛下が被災地を回ってくれることで、そこが親父が死んだ場所でなくとも、俺が親父の御霊を現地で弔えたかのような気持になれるんだ」と。
その遺族の方は、こんなに有難いことはないとも言っていました。サイパンなど、民間の日本人が亡くなった場所も沢山ありますね。両陛下が戦地をご訪問されることは、兵士や民間人の戦死者、遺族の心を慰める、本当に尊いことだと思っています。
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■「平成の時代」とは
———最後に平成の御代が終わる感慨・ご感想をお聞かせください。
佐波:平成の御代には社会的にも様々な変化がありました。戦後にできた日本の社会構造が大きく変化しました。雇用形態一つとっても、終身雇用や年功序列型の働き方が崩れ、非正規雇用など不安定な雇用も増えました。
三世帯同居が少なくなり、少子高齢化に伴う様々な社会のひずみも浮き彫りになりましたね。平成は問題が山積する時代ではありましたが、一方でNPO法人の設立や企業の社会貢献活動を始めとした人々が互いを助け合う新たな社会構造も構築されようとしています。
平成の時代に学んだ様々なことを、次世代の子供たちのために次の御代に生かしてくことが大事なのではないかと考えています。
*1;1995年1月31日付読売新聞大阪夕刊「両陛下がお見舞い ジャンパー姿「頑張って」 被災者「励みに」」より
*2;厚生労働省発表資料 地域別戦没者遺骨収容概見図(平成31年2月末時点)より
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(取材・文/France10・及川健二)