結婚式の曲『糸』がなぜか『地上の星』に… 経験者が語る式場トラブルの実態
『スッキリ』で箕輪厚介氏が、結婚式トラブルで傷心の花嫁に「切り替えて」と発言。ネット上で非難を集めたこの言葉をどう思ったのか、実際に結婚式トラブルに見舞われた人々に話を聞いた。
■ゲストがトラブルに巻き込まれるケースも
式場側の不手際が原因で起こる結婚式トラブルだが、ときにはゲストの身に降り注ぐことも。数年前、親友の結婚式に参加し、余興でトラブルに見舞われた女性(30代)は、自身の体験をこう語る。
「親友の余興で中島みゆきの『糸』をお願いされたとき、『地上の星』が本番で流れてきたことがありました。打ち合わせでプランナーの方に『一緒にカラオケに行くとモノマネをしている』と話したのですが、どこでどうすり替わったのか全然違うテイストの中島みゆき曲に。
当然テンパって一旦止めたんですが、会場スタッフに『この曲しか用意していない』と言われ、時間も押していたのでとりあえず『地上の星』を歌って『糸』はアカペラで歌うことに。結婚式で『地上の星』を歌う恥ずかしさはなかなかのものでしたね」
この女性の場合、幸いにも新郎新婦やゲストが盛り上がってくれたそうで、結果オーライだったものの、いかにも「ありそう」なミスなだけに、怖いエピソードだ。
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■トラブル発生の原因は情報伝達不足?
なぜ、このようなトラブルが起こってしまうのか。結婚式場で以前、スタッフとして勤務していた女性(20代)は、「あくまで私のいた式場の話ですけど……」と前置きしつつ、次のように話す。
「披露宴会場でサービスを行なうスタッフには、事前に食事・ドリンクのコースや段取りなどは、必ずプランナーから事前に周知があります。
『スッキリ』で取り上げられたドリンクプランの件は良い例だと思うのですが、これはおそらく、プランナーと会場スタッフの報連相がうまくいっていなかったのかなと。お客様からの要望を直接伺うのはプランナーなので。
そして、配膳スタッフは式当日に初めて式のプランを知るパターンもあるので、打ち合わせからの詳細等は認識していないと思います」
彼女によると、新郎新婦の要望をまとめ、他のスタッフに広げていくのがプランナーの役目とのこと。だからこそ、プランナーの力量や相性は重要なワケだが、裏を返せばトラブルが起こる際も、そこが発生源になってしまうケースがあるようだ。
なお現在、『スッキリ』での放送を受け、被害者夫婦を担当していたとされるプランナーの個人情報がネット上に流出している。真偽も非常にあやしい状態のなか、個人攻撃が行なわれているワケだが、ビジネス的な観点から見ると、プランナーが所属する企業が結婚式を商材として売っている限り、その責任は企業にあると言える。
結婚式トラブルに悩む人が、そのような匿名の攻撃で救われるワケでもないので、安易な情報拡散はやめるようにしよう。
■炎上も「結婚式にかける男女の想いの差」は理解
と、ここまでさまざまな取材を交えて結婚式トラブルについて記してきたが、前出の20代男性は、「男としては、箕輪さんがああいう発言をしてしまうのは、わからなくもない」と語る。その理由は、「男女の結婚式にかける想いの差」だ。
「男性の中にはそもそも結婚式に対して憧れがなかったり、重きを置いていない人が少なくないと思います。僕自身はそうではなく、むしろ一般の男性に比べると楽しみにしていたほうだったんですが、それでも妻が式にかける想いを知って、驚くことがあった。
たとえばドレス決めの際に、男性的な問題・課題解決脳な僕は『一番似合うものを選べばいい』『即断即決が一番』とだけ思っていたけど、彼女は『これもいい、あれもいいって言いながら選ぶのも楽しいの』『結婚式は準備から結婚式なの』と言われたり……恥ずかしながら、自分にはそういう考えがなかったので、ハッとしましたね。
もちろん、だからといって結婚式にかける想いが少ない人、そもそも結婚式をしたくない人の気持ちを否定するつもりはないですけど、女性の中にはそういう風に結婚式を捉えているという人もいるということなんです……もはやこうなってくると、男性とか女性とか関係なくて、個々人の想像力の問題かもですけどね。
箕輪さんは頭がとても良く、日々色んな課題を解決されている方だと思います。あくまで想像ですが、今回の発言にはそういう男性的な面が出てしまったんじゃないでしょうか」
自分とは異なる価値観の人に対し、適切な対応をするのは難しい。だからこそ、簡単に励ますのはリスクが伴うし、仮に背中を押すにしても、それはすでに立ち上がっている人にするべき行動だ。
立ち上がっている人であれば一歩を踏み出すきっかけになるかもしれないが、傷心してしゃがんだままの状態の人の背中を押すのは、ただ相手を倒すだけでしかない。
話が若干大きくなりすぎてしまったが、問題となっている式場およびその運営会社には、きちんと対応をしてもらいたいものだ。
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(文/しらべぇ編集部・Sirabee編集部)