人寄せパンダとして飛び回る立憲民主党・市井紗耶香 演説は子育てのシングルイシュー
モーニング娘。全盛期メンバーとして活躍した市井紗耶香。現在、4児の母として参院選比例区に立候補している。
■原発ゼロをやると言ったものの
筆者は会見を聞いて、あえて「子育て以外で訴えたいことはありますか?」と質問した。
彼女は、 「東日本大震災のときに私は千葉に住んでいたが、それまで原発のこと知らなかった。原発に対する危機意識を持ち、子供を育てる親として不安になっていることもあり、原発はゼロにすべきだと思っている」と主張した。
しかし、筆者が何回か街頭演説を聞くと、市井が話すのは毎回5〜8分程度。しかも、内容はすべて子育てなのだ。15日の祝日昼に新宿アルタ前で立憲民主党が主催する『#この夏、わたしは変えたい』と題した街頭演説会が始まった。
比例区候補は市井以外にも東京MXテレビでのマシンガントークで人気を博した白沢みき氏や、ゲイだとカムアウトした初の議員である石川大我・前豊島区議が並んだ。立憲民主党の枝野幸男代表が来るということもあり、アルタ前は満員となった。
市井は参院候補の最後にマイクを握り、自己紹介した後で、
「この夏、私は変えたい。私は、子育てに、もっとやさしい社会にしたい、そう思っています。もう、説明する必要もないかもしれませんが、私の生い立ちを少し、お話しさせてください。
14歳で芸能界デビューし、20歳で出産しました。初めて我が子を抱いたとき、自分の命より大事な命、この子のことは何があっても絶対に守る、そう誓いました。そして現在、上の子は14歳、12歳、下の子は6歳、2歳と、4人の子供を育てているお母さんです」
と話し始める。
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■演説は「子育て」に集中
そして、子育てが国会でテーマにならないのは当事者が少ないからだ、と述べた上で、最後は、
「私も正直、迷いました。このままで本当にいいのだろうか。そんなとき、“保育園落ちた、日本死ね”。このブログが、国会で取り上げられたのを思い出しました。子育てといえばどうしても、小さな子供だけをイメージしがちです。
ですが、保育、小1の壁、いじめ、奨学金と、子供が社会に出るまで、親の悩みは尽きません。ですが、親の悩み、親の苦しみは、国会へ響かない。だから今、他の政策に埋もれてしまう前に、お父さんの声、お母さんの声を、国会へ届ける必要があります」
「私は本気です。この夏、本気でこの国を変えていきたい。もっとお年寄りにも、小さな子供たちにも、もっと思いやりのある社会にしていきたい。そう考えています。そのためには、みなさんの、あなたの力が必要です。あなたの力が必要です」
18日にも吉祥寺と新宿で市井紗耶香の演説を再び聞いたが、内容は前の演説とほぼ同じ。けっきょく、子育ての大変さと、それを支援できない政治を変えたい、自分のような子育ての当事者が少ないからだ、と訴えるだけなのだ。
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■不妊症に悩む塩村あやか前都議が隣に
筆者が気になったのは、15日18日も演説の隣に東京選挙区から立憲民主党で出馬している塩村あやか前都議がいたこと。
塩村氏は不妊症の傾向があるために、「卵子を凍結して未来に託した」と話し、不妊治療の大変さと、5つのカップルのうち1カップルが不妊治療を受けている実態を訴えているのだ。市井氏も何度も聞いているはずだが、演説では塩村氏を無視するがごとくにも見えた。
立憲民主党を追う全国紙記者は語る。
「タレント候補ではなく、子育てママの候補だという自負が市井さんにはあるが、演説は子育ての大変さと、事態が改善されないのは当事者が少ないからだ……という内容を、壊れたレコードのように繰り返すだけ。
出馬会見で原発ゼロにも関心があると言ったのに、原発にはまったく触れずじまい。激戦区をまわらされているところをみると、党は人寄せパンダとしか考えていないでしょうね」
子育て一辺倒では、息子がろう者で社会福祉を訴えた今井絵理子・参院議員のように、いつまでも人寄せパンダになりかねない。出馬会見で述べたとおり、原発ゼロについても勉強していなければ、けっきょくはタレント議員で終わってしまう。
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(取材・文/France10・及川健二)