「公衆便所で射精」「生き生きしてた」 地下芸人を描いた映画に衝撃
『女王の教室』の大塚恭司監督が横須賀歌麻呂を主演にした映画『東京アディオス』が公開される。
「地下芸人の帝王」横須賀歌麻呂の半生を描いた映画『東京アディオス』が、10月11日から、シネ・リーブル池袋にて上映される。
メガホンをとるのは、本作が初監督作品となる大塚恭司氏。『Mr.マリック超魔術』(日本テレビ系)、ドラマ『女王の教室』(同)など、バラエティーとドラマの両方で視聴者を魅了してきた演出家だ。
しらべぇ取材班では、本人役で主演を務めた横須賀と大塚監督にインタビューを実施。映画の内容はもちろん、現在のお笑い界についても語ってもらっている。
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■地下芸人との出会い
本作のテーマである地下芸人とは何か。明確な定義こそないが、そのように呼ばれる芸人たちに共通するのは、世間一般でいう「売れる」「売れない」を度外視し、自らが面白いと思うネタを追求している点。彼らはライブでこそ輝きを放つ。
一方、テレビマンとして数々の功績を残してきた大塚監督。テレビとは縁遠いように思われる世界線で生きる地下芸人を知ったきっかけは、たまたまライブハウスで見かけた白黒のチラシだった。
大塚監督:2003年とか2004年くらいかな。その頃はもう情報がネットになって、ネットで調べたら何でもわかるみたいな感じになっていました。そんなときに、白黒のチラシしかないお笑いライブがあることに気づいたんですよ。
そして、地下芸人の存在を知った大塚監督が最初に訪れたライブが、横須賀が出演する『嗚呼 お笑い 東洋・太平洋秘宝館タイトルマッチ』と、本作にも出演している柴田容疑者の単独公演『ダジャレ400連発』だ。
大塚監督:柴田のライブには、仕事で5、6分遅れて劇場に着いたんだけど、まだ始まってなくて。俺が入っていったら、奇妙な空気になって、そこに集まってた人がばぁーって掃けていったんです。
「なんだろうな」って思いながら席に座ったら、その掃けていった人たちは全員スタッフで、客がひとりも来ないから、やるかどうかを協議してたらしいです。
お題が書かれた400枚の半紙がステージに貼られていて、1枚1枚はがしてダジャレにするってライブで、それを1対1で観ました。忘れもしないんだけど、250枚過ぎから明らかに柴田のスタミナが落ちていって(笑)。
そんな贅沢なライブを観て、「ネットで知れないライブが面白いんだ」ってことをすごい早い段階で直感して、他のライブも観始めました。自分が観たライブで面白いと思う人を数えてみたら、13組残って、その中のひとりが横須賀でした。
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■生きた心地がしなかった
横須賀がライブで披露するのは、下ネタのみ。しかも、テレビで放送しようものなら、放送禁止のピー音が鳴り止まないようなエッジの効いたものばかりだ。
つまり、独自の世界観を持つ地下芸人のネタの中でも、近年のテレビとは極端に相性が悪い。それが今回、テレビを通り越して、映画で主演を務めることになった。
横須賀:売れてない芸人の話は他にもあるかもしれませんけど、それを本人が演じるっていうのはありえないじゃないですか。撮影のときはついていくのに必死でした。俺以外、周りはみんなプロフェッショナルの役者さんなんで。
映画に出てくれた後輩の芸人に言われたんですよ、「横須賀さん、休憩中も一切座らないんですね。高倉健ぶりたかったんですか?」って(笑)。でも、そういうわけじゃなくて、普通に座れないというか、常に無我夢中でした。
だから、「俺が主演でやってんだ」って高揚感みたいなものは一切なくて、生きた心地がしなかったですね。まだ公開されてないってこともあると思うんですけど、撮影が終わった今もまだ現実感がないです。