「海賊版サイトで満足する人はファンじゃない」 ユーチューバーが発信し続ける理由

海賊版サイト、違法アップロードについて啓発動画をアップし続ける理由とは。話題のアニメユーチューバー・たぐぢエンターテインメントに聞いた。

2019/10/21 05:45



■注意した側が「おかしい」となるおかしさ

たぐぢエンターテインメント
(©たぐぢエンターテインメント)

ーー公式だけで対応するのが難しいと考えると、ファン自身の動きも大事になってくると思うのですが、先日、人気作『鬼滅の刃』『五等分の花嫁』の違法アップロードについて動画で言及されましたよね。

たぐぢ:賛否のあった動画ですね。


ーー簡単にその内容を述べると…

①『鬼滅の刃』アニメ動画の違法視聴をツイッター上でうながす男子中学生を、たぐぢさんの視聴者たちが厳しく注意する

②男子中学生は「違法だとは知らなかった」と弁明。しかし、一方で口汚い言葉で注意されたことに対し、「残念だった」「やめていただきたいです」と主張

③「中学生の男の子をリンチするのは褒められた行動ではない」としながらも、たぐぢさんが「よくやった」と褒める

というもの。正直なところ「炎上しそう」と言うか、過激と捉えかねない方向性の動画かなと思いました。

たぐぢ:たしかにあの動画は、世間一般の人の感覚で言えば「言ってるやつのほうがおかしい」と思うと思います。中学生の男の子をネット上で、10人以上で注意するワケですからね。


でも、僕は正しいことを言っているのは視聴者の皆さんだと思うし、そこに汚い言葉が混じっていたとしても正しいことは正しいと感じます。だって、違法アップロードは現場のクリエイターたちを殺しているのと同じですから。


でも、実際は声をあげたほうが「おかしい」と言われ、白い目で見られてしまう。


きちんとお金を支払ってコンテンツに触れている人の中には「そんな違法行為をする人と一緒にしないで」「どんなジャンルにもおかしな人はいる」と言って見過ごす人もいると思いますけど、僕はファンがファンを育てるのってとても大事なことだと思うんですよ。


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■グレーが多いからこそ「公式の利益を損なわない」

たぐぢエンターテインメント

ーー食い逃げしている人を追いかけて捕まえると称賛されるのに、違法アップロードしている人を注意したり、違反報告をせっせとやってる人を見ると「無駄だしやめときなよ」って見られがちですもんね。

たぐぢ:はい。そして、これはそもそも論ですが、アニメやマンガの界隈って、著作権に対して伝統的に非常にグレーなんです。


たとえばコミックマーケットは真っ黒で、キャラクターの名前を使って二次創作していますし、個人に目を向けてもツイッターのアイコンやサムネイルにアニメ画像を使っている人ってたくさんいます。


ところが日本のアニメは「そこから新しいものが生まれてくるかもしれない」「拡散すればより多くの人に知ってもらえる」という考えから、二次使用が黙認されて発展してきた側面があり、実際、運営や公式が著作権的にアウトな使い方をした画像をピックアップしたりMAD動画をリツイートしたりしている。


でも、そうやってすべてを禁止するつもりがなく、受け手に委ねられている面があるからこそ、「公式側の利益を損なわないこと」が大事だと思うんです。


つまり、一線を見極めるのが大事であって、違法アップロードはそこを超えている。そこを見分けることができるようになるのが高校生くらいなのかなと思います」


ーー発信することで、アンチから批判されることは?

たぐぢ:ありますね。人気コンテンツなだけに、ツイッターで中傷のDMが来たり。内容は「気持ち悪い」とかそういうのですね。


YouTubeって最初は自分の味方、チャンネル登録してくれている人が感想をくれるから、2~3日後に世論が見られるんです。だから最初は同意の声が多くても、動画が伸びて知らない人の目に触れると批判が来ることもあります。

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■海賊版サイトを利用するのは「好きじゃない」から
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