根津メトロ文庫が30年の歴史に幕 老朽化と利用者減少には勝てず
東京メトロ・根津駅に設置されている「根津メトロ文庫」が撤去される。蔵書の行方などを東京メトロに聞くと…
東京メトロ千代田線・根津駅の不忍池方面改札内に設置されている「根津メトロ文庫」が撤去される。地域のみならず、多くの人から愛された。ネット上でも撤去の情報を見た人から惜しむ声が寄せられている。今後について東京メトロに取材を行った。
画像をもっと見る
■設置から30年
89年9月24日から設置された文庫で、本は駅利用者が自由に持っていけるのが特徴だ。貸出冊数の制限や返却期限などはない。借りる人の良心も頼って運営されていた。蔵書も利用者からの寄贈で賄われていた。
営団 6000 系の車両を模った文庫も人気で本は借りなくても写真撮影だけをする人もいた。根津駅といえばメトロ文庫を連想する人もいるようで、駅を象徴する施設とも言える。
しかし根津メトロ文庫が撤去されるとの話がネット上に現れた。筆者が訪れた24日に確認できなかったが、文庫に撤去に伴い寄贈を断るとの張り紙があったという。その画像がツイッターに投稿され、「悲しいです」、「新造車寄贈するから続けて欲しい」など惜しむ声が寄せられた。
関連記事:地下鉄銀座線渋谷駅が81年の歴史に終止符 「新駅舎を楽しみに」と広報
■老朽化が酷く…
しらべぇ編集部は24日、書面を通じて東京メトロ広報部広報課の担当者に取材を依頼。その返答が28日にあった。
多くの人から愛された根津メトロ文庫、その撤去理由について聞くと、「設置から約 30 年が経過し、老朽化が進み安全管理が難しくなってきたこと。また、時代が変わる中でご利用になるお客様も減少し、設置当初の役目は終えたと判断しております」とコメントした。
撤去後の蔵書の扱いや撤去する日付についても「未定」としており、いつ根津駅から姿を消すかまではわかっていない。
関連記事:「銀座線運休のお知らせが酷い」と話題に 東京メトロに直撃してみたら…
■お客様サービスの一環として
そもそも、なぜ文庫が設置されることになったのか。「当時は各駅にお客様サービスの観点から、飾りつけ(水槽など)およびイベントなど実施した中の取り組みの1つとして設置されました」と担当者。
一時的なものを検討していたかもしれないが、30年にわたって人から愛されるまで成長した。ツイッター上でも「学生の頃は特に結構お世話になりました」など利用経験のある人から声が寄せられている。
変わり続ける東京の地下で長年活躍し続けた文庫。惜しむ声について「長い間ご愛顧いただきましてありがとうございました」と感謝の念を述べていた。
東京メトロには根津駅以外にも文庫が設置されているが、特に有名だった。明確な撤去日時も現時点ではわかっていないため、最後にもう一度見たい人は急いで訪れるのがよいだろう。
・合わせて読みたい→KADOKAWA、新型コロナ受け児童書207冊を無料化 担当者の思いを聞いた
(文/しらべぇ編集部・Sirabee編集部)