「除夜の鐘はうるさいから止めろ」のクレーム 各寺院の現状と対策とは
「除夜の鐘がうるさい」という声に対応する寺院の今とは…
大晦日の風物詩ともいえる除夜の鐘。しかしそんな伝統を巡って論争が拡がっている。しらべぇ取材班は関係各所から話を聞いた。
■調停が開かれる事態に…
東京都小金井市にある千手院。この寺院の鐘の場所を移動したところ、音が影響する4軒からクレームが発生。市が解決へのアドバイスを送ったりしていたが、結局裁判所で調停が開かれる事態となった。
住民側は防音パネル設置をすればOKの条件を出したが、設置に毎回30万円から50万円かかるため、住職が4~5年前から、除夜の鐘を自粛しているという。
住職は、「寺院が住宅地にあるため、やむを得ない。『鐘をつきたい』という希望者には、八王子にあるお寺を案内している」と話した。
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■「うるさい」とガチャ切り
静岡県牧之原市にある大澤寺(だいたくじ)の今井住職は、「うるさいというクレームが住民からあがったため、昼に鐘を鳴らすことにした。すると今度は全国から夜に戻せ。伝統を壊すなという意見が寄せられた」と話す。
今井住職によると、除夜の鐘が本格的に始まったのは、昭和に入ってからだという。
もともと梵鐘(ぼんしょう)を持っている寺院が少なく、牧之原市内の寺院13のうち梵鐘があるのは3つのみ。1941年からの金属類回収令によって、国宝クラス以外の鐘が軍に強制徴収され、それが溶かされ武器として使用されていたとのこと。
その後大澤寺では、1958年に檀家の協力によって、再び鐘が作られた。除夜の鐘に対して、2002年頃から数年続けて、「うるさい」という電話のガチャ切りが始まったため、2004年から鐘を鳴らすことをストップした。