「居酒屋キャンセル」ついに逮捕者が 店側の対応策を弁護士が解説

忘年会シーズンに多発する「居酒屋キャンセル」犯罪に問われる可能性を弁護士が解説

コラム

2019/12/29 15:20

居酒屋
(taka4332/iStock/Getty Images Plus/画像はイメージです)

近年、飲食店の無断キャンセルによる被害が増加しています。経済産業省が2018年11月に発表したレポートでは、無断キャンセルが飲食業界に与える損害は年間で約2,000億円になると発表されました。

そんな中、居酒屋に団体予約を入れて無断キャンセルした59歳の男が11月11日、警視庁丸の内署に偽計業務妨害の疑いで逮捕されたというニュースが報じられました。

飲食店の無断キャンセルはどんな罪に問われるのか、わたくし弁護士の齋藤健博が解説いたします。



 

■無断キャンセルで適用「偽計業務妨害」とは

偽計業務妨害罪は、人の経済的信用を保護する観点があります。中華そば屋に970回無言電話をかけた事例で本罪の成立を認めた裁判例があります。

本件のような無断キャンセルは、お店側が料理や飲み物を用意しておき、経済的損害を与えるに等しい行為。

「偽計」とは難しい言葉ですが、人を欺き、あるいは人の錯誤無知を利用したり、人を誘惑すること、計略や策略を講じることなどの不正な手段から、人の社会的活動や財産面での信用を保護しています。

無断キャンセルは、料理店や飲み屋の営業や準備していた商品をむげに扱い、また、破棄の危険にさらし、機会喪失をももたらす行為ですから、偽計業務妨害罪の成立には問題がないでしょう。


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■逮捕者がでにくいのはなぜ? 

じつはこの犯罪は、より直接的な犯罪に結びついている場合には、その犯罪を成立させて処断させることが多い構成要件です。

どういうことかというと、例えば無断キャンセルもより直接的には詐欺罪の成立可能性を秘めています。詐欺罪のほうがある意味で直截的でしょう。

最近では、他人のキャッシュカードの暗証番号を盗撮するために無人の銀行出張所のATM機を一般客を装いながら長期間占拠する行為につき、成立を認めた最高裁判例があるにとどまります。

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■偽計業務妨害を成立させることは難しい

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