自民党・小林史明青年局長に聞く 規制改革で能力を開放できる社会に
各党の青年局長・若者担当議員リレーインタビュー第一弾は、自由民主党の小林史明衆院議員。NTTドコモ社員から政界入りし、最新技術にも明るい。
■低迷する若い世代の政治意識への対策
政府も若い世代向けに投票を促すキャンペーンを展開し、各党も青年局などが活動しているにも関わらず、若者の政治への関心は上がらない。投票率も中高年と比較すると低いままだ。こうした状態への対策については、どう考えているのだろうか。
小林:大きく政治と政治家のあり方の問題と、環境的な問題と捉えていて、「政治に参画すると面白い」と思ってもらうこと、価値を感じてもらう活動を日常的にすることです。
選挙が始まってから急に「投票に行こう、投票に行くのは大事だ」とキャンペーンしても手遅れです。普段から政治家が地域の課題を解決していく姿を見てもらい、そこに住民も参加する。
「政治に関わると自分たちの街の景色を変えられるんだ」という成功体験を共有することが、本質的に政治への参画、投票につながると考えています。
政治家になる前からこの問題意識はあって、地元では、市民を巻き込んだプロジェクトをいくつも立ち上げています。
河川敷にスケボーパークを作ったり、若い漁業者と一緒に、夏牡蠣の生産を始めたり、福山市はデニムの生産が世界一なのですが、地場産業とデザイナーとマッチングして新しいブランドのデニム商品を開発したり。
このデニムは銀座のショッピングモールに進出して、そこで歴代2位の売上を記録しました。
こういうプロジェクトに参加した方は、その後も積極的に地域の課題解決に関わり、地域のために政治に参画します。そこから派生して自ら地域団体を立ち上げて、社会問題を解決する動き始めている。
結果として、全国的に無投票の地域も増えている中、私の選挙区では、地方議会議員の立候補者が増えているんです。
自民党青年局でも、これからの政治家、地方議会議員の仕事について、「民間企業や地域外の人たちと地域をつなぐコーディネーター的リーダー」であると再定義しています。
これをやっていけば政治に積極的に参画する人が増え、必ず投票率は上がると考えています。
さらに若い世代はとくに利便性を感じやすいネット投票も、現実的な道筋が見えているという。
小林:もうひとつは、もっと投票しやすい環境にすること。現在は、投票所に行かなければなりませんが、「駅前にあったらいいのに」と思われる方もいると思います。
しかし、じつはセキュリティに関する規制があって、無線ではない固定ネットワークでないと投票者名簿の管理をしてはいけないことになっていました。
私が総務省の政務官だったとき、「セキュリティの高い無線ルーターでもいい」とルールを変えたので、今後、自治体はかなり自由な場所に投票所を設置できるようになるはずです。
また、インターネット投票についても、まずは3年後の参院選から海外在住の日本人はネット投票できるようにします。
在外邦人は現在、100万人を超えているにも関わらず、投票率はわずか1%前後。現地の大使館や領事館に行かないと投票できないので、まずはここから。できるだけ早く国内にも適用したいと思います。
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■複数プレイヤーで支え合う社会に
少子高齢化の時代は、パイが限られ、縮小する社会と感じる人も多いだろう。そのため、とくに社会保障分野においては「予算の取り合い」「世代間対立」といった観点から報じられることも少なくない。利害が対立する問題を、どう解決していけばよいのだろうか。
小林:年齢で分断すると不安になりますが、互いにぐるっと支え合うと全然違う社会、今よりも明るい社会保障の未来が見えてくるはずです。
社会保障の将来課題について必ず論点になる、支える側と支えられる側の比率について、現在は、「65歳」といった年齢で分断されていますが、年齢に関わらず意欲と能力さえあれば働きたい人がたくさんいます。
ロボットや自動運転など技術も活かしてこうした方たちが働ける環境を整え、働きたい人がたとえば週2日程度働くと、2040年には今よりも支え手の比率が多い社会ができます。
小林議員は、支え合いの事例として「こども食堂」のモデルについても言及した。
小林:今までの解決手法は、「こっちに年金をつけてくれ」「こっちに子育ての予算を」と、困っている人と行政が一対一対応で、予算がつくかつかないか、どちらに多く回すか、という問題でした。
これからは、それぞれの課題を持っている人たちをつなぎ合わせて、いい場をつくり、一対一対応ではなく、複数のプレイヤーで支え合うことが有効な解決になると考えます。
たとえば、こども食堂では、「貧困や課題を抱えているお子さん」「孤独を感じているシニア」「引きこもりの若者」「フードロスの課題を抱えている企業」、さまざまな方たちが行政が無償で提供した場に集まることで、お互いの課題が解決されている。
こうしたやり方は、他の課題にも応用できるし、大きな社会保障改革でも使うことができます。