自民党・小林史明青年局長に聞く 規制改革で能力を開放できる社会に
各党の青年局長・若者担当議員リレーインタビュー第一弾は、自由民主党の小林史明衆院議員。NTTドコモ社員から政界入りし、最新技術にも明るい。
■個人と企業の能力を開放できる社会に
米国や中国発のグローバル企業が大きく成長する中で、「失われた30年」とも呼ばれる停滞を経た日本には、成長戦略がはっきりと見えないという声も聞かれる。小林議員が考える日本の成長戦略についても聞いた。
小林:必要なのは、ルールや慣習で縛られている日本の個人と企業の能力を開放することです。効率的なシステムをインフラとした自由な社会で、国民それぞれが活躍でき、能力を発揮することができれば、結果的に日本は発展することができる。
たとえば、日々の生活に必要な行政手続きのフォーマットは全国1718市町村でバラバラです。保育所に入りたいときの就労証明書、身体障害者手帳、被災地で生活を再開するのに必要な罹災証明書… 地方分権しなくていいことまでバラバラにやっています。
企業から行政への申請なども紙で対面、都度都度が基本で民間企業の時間を浪費しています。民間企業の成長をサポートする、少なくとも阻害しない環境をつくることが国には求められています。
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■少子化や地域の衰退には今から対処できる?
2019年の出生数は80万人台に突入する見通しが報じられ、とくに地方では高齢化や地域社会の衰退も急速に進んでいる。「もはや手遅れではないか」との見方もある中、何か有効な解決策はあるのだろうか。
小林:何か一つの有効な手立てで解決できないのが辛いところですが、私自身がやりたいと思っているのは、まず、多くの方が感じている、なんともいえない将来不安をできる限り解消することです。
将来の収入が不安で、結婚や出産、転職、留学などといった人生の選択を諦めている人たちがいますが、こうした諦めをなくして、前向きな一歩が踏み出せるようにしないといけない。
年齢ではなく意欲と能力があればみんなが活躍できる」「互いに支え合えば、今よりも社会保障上、安定した将来をつくれる」というビジョンを共有し、小さなことからでも実践して、皆で成功体験を積み重ねていくことが大切です。
地域経済の側の課題としては、真の意味でダイバーシティの実現がカギです。働き方にも関わる直近最大の問題が人手不足であることはご存知の通りですが、これについても、誰もが意欲と能力を発揮して活躍できる社会でなくては解決しません。
とくにシニア、女性、障害者、外国人などフェアに十分な機会を与えられていない方々の方が活躍しやすい地域をつくる。たとえば、賃金格差を見れば、男女差は圧倒的です。
女性の給与が男性と同じくらいに上がっていけば、消費税5%以上の税収増になる。それだけで社会保障は安心ですし、地域も経済的に成長し、ご本人も活躍できる。
障害者や外国人材の雇用には大きな可能性があるという。
小林:また、テクノロジーが進展することで、障害がある方やシニアも働きやすくなっています。ある会議で、障害者の方が「障害者こそフロンティアだ」と話されていたのが印象的でした。
人間は必ず年齢を重ねて機能が衰えたとき、障害と同じようなことを体験するということです。つまり、障害者の方を支えるテクノロジーは、皆にとって貢献することができる。
外国人材は、すでに地域にたくさんいらっしゃいます。私の選挙区である福山市では、約47万の人口のうち、およそ1万人が外国籍です。日本は世界中でいちばん外国人労働者が増えている国の一つで、ビザも取りやすくなっています。
「外国人がたくさん入ってきて困るんじゃないか」という議論の状態ではなく、「世界で優秀な人材を取り合っているときに、日本は選ばれるだろうか」「日本を訪れた外国の方、今も日本にいる外国籍の方が能力を発揮できるだろうか」こそが問題です。
小林議員は、最後に政治におけるダイバーシティの必要性と青年局の役割を強調した。
小林:社会のダイバーシティを実現するために、政治こそダイバーシティでなくてはなりません。政治家は選挙で当選すれば、性別や年齢に関わらず、政治家として働くことができます。
そして任期中の活動をもとに、次の選挙で審判を受けるという点で平等です。しかしながら、現実は当選回数を重ねなければ仕事ができない、というイメージが定着しており、なんとも言えない閉塞感があるのは見ての通りです。
だからこそ、青年局が政策実践集団として、結果を出すことにフォーカスし、閉塞感を打ち破っていきます。任期が若く、ベテラン議員に比べて経験が浅い分は、チームでお互いを支え合い、それぞれの地域をよくしていく。
そして、その姿が、多くの方々に共感してもらえれば、政治に参画する人が増え、政治においてダイバーシティが確立され、ひいては次世代のよい国づくりに繋がると思っています。
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(取材・文/しらべぇ編集部・タカハシマコト)