立憲民主党・中谷一馬青年局長に聞く 「少子高齢化問題の解決が最大の経済対策」

母子家庭、貧困の中で育ち、いったん中卒で社会に出た後、ベンチャー経営者に。異色の経歴の若き青年局長だ。

2020/02/16 19:40


中谷一馬衆院議員

各党の青年局長・若者担当議員に聞くインタビューシリーズ、第4弾は、立憲民主党で青年局長を務める中谷一馬衆院議員。

中卒でいったん社会に出た後に通信制の高校に進学した。さらに柔道整復師の資格を取り、上場したITベンチャーの創業メンバーでもあるという異色の経歴だ。神奈川県議に初当選したのは、27歳。現在36歳という気鋭の若手議員だ。

「珍しい経歴だと思うが、本当は、自分たちのような人間が珍しいのは民主主義としては違うんじゃないかな。本来的に国民のルールと予算を定める議会を構成するメンバーは、社会の縮図であることが健全だから」と語る中谷議員。

そこには、自らの生い立ちも活かして多様な声を拾い集めようという姿勢も見え隠れする。



■ボトムアップで市民の声を聞く

民進党が分裂する形で立ち上がった立憲民主党。結党当初はとくに、リベラル勢力の中で高い支持を集めていたようにも見える。若い世代に対しては、どのような活動をしているのだろうか。

中谷:現在、立憲民主党全体で854名、青年局には223名の議員が所属しています。立憲の支持層は相対的に中年層以上の方が多い現状がありますので、私たち若い世代が牽引する青年局から、若年層の皆さんに期待をしていただける政党を目指すことが重要だと考えています。


青年局は、北海道から九州・沖縄までブロックがあり、結党2年ながらスピード感をもって全国組織を構築できました。


私たちは、「ボトムアップでみんなの声を聞ける政党をつくりたい」という思いで活動しています。若者たちの声を聞いて政界に届ける「おしゃべり会議」というイベントをこれまで3回実施しており、各回100名以上、3回目は100名の議員を合わせて250名以上の参加者が集まりました。


政治家が上から目線でしゃべる会議ではなく、たとえば「ブラック校則」や「子供の貧困問題」の問題などの現状を若い皆さんから教えていただくことはたくさんあります。


若者の皆さんにとっても、政治家としゃべったことがない方も多いと思いますので、話してみると「普通のお兄さん・お姉さん」だということが伝わってくれれば嬉しいです。


また、若者たちから集まった政策を選挙の公約にも採用したというのも、ボトムアップ精神の現れだろう。

中谷:高校生を中心とした10代の若者による「わかもの政策会議」を行い、さまざまな政策をまとめていただきました。2019年の参院選公約にも一部を反映させています。


政治に触れてみたいという人に向けては「おしゃべり会議」、関心が高い人には「一緒に政策をつくろうよ」と呼びかけています。政治のハードルが下がって、自分たちが政治に関わる意味を知っていただきたい。


政治に無関心になったとしても、政治と生活が無関係になることはないからです。自分たちの置かれている立場の中で、どの政党が進める政策が今の自分にいちばんフィットするのかという選び方ができるようになれば、民主主義が健全に発展していくと思います。


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■ライフワークは「世界平和」の実現

中卒でいったん社会に出て、再び通信制高校に入学・卒業したという国会議員としては異色の経歴を持つ中谷氏。ライフワークとするテーマも、そのリアルな体験を元にしたものだ。

中谷:小学5年生のときに両親が離婚しました。母は、私と妹2人、さらに祖母もいた家族を1人で働いて支えましたが、体を壊してしまい、生活保護を受給することになりました。


この国のひとり親家庭のお父さん、お母さんは8割以上の方が働いているにもかかわらず、5割以上が貧困状態にあり、平均年収が180万円に届かない状況です。頑張っても貧困状態から抜け出すことができない。


また子供には自分の努力では絶対に乗り越えられない壁がある。それをどうやって社会が補うか。その仕組みをつくる政治の必要性を感じたことが政界に飛び込んだきっかけです。


20年前の当時でも、高校進学率は95%以上でした。そうした中、私は経済的自立に焦って中卒で社会に出たもののなかなかうまくいかない。普通に一家でご飯を食べていける仕事にはなかなか出会えず挫折しました。


そして近い環境の仲間たちが集まった。私は、そのやんちゃ坊主たちの中心的な存在になりました。


しかし、逆境からの一念発起が政治への道につながった。

中谷:当時、世の中のおかしなことに不平不満の声はあげる人はいても、それを自分自身で変えようとする人はまわりには、ほとんどいませんでした。


でもこうした社会の矛盾を感じる中で「自分自身が生きる時代だからこそ、自分たちで変えなきゃいけない」と私が思ったのが18歳くらいのときです。


まわりからは、「中卒で政治家になんてなれるわけないだろ、まず高校に行けよ」と言われました。そのことに悔しさを感じながらも諦めることができませんでした。


その後、一念発起し、働きながら通信制の高校に行き、柔道整復師の専門学校に行き、自分で飲食店をつくったり、ITベンチャーの創業に携ったり。


その後、菅直人さんの秘書になって、彼が総理大臣になるまで秘書を務め、地元に帰って神奈川県議会議員になりました。そういう家庭環境に育ったものですから、政治信条としては、世の中の貧困と暴力を根絶したいと思っています。


「平和」で「豊かな」社会がいつもいつまでも続く世の中を創りたい。端的に言えば「世界平和の実現」です。これは、長期的なビジョンにもつながります。


「具体的なビジョン」とはどのようなものだろうか。くわしく聞いてみると…

中谷:たとえば、少子化の大きな原因も貧困です。男性の既婚率を正社員、非正規社員、パート・​アルバイト別に見ると、35~39歳では正社員の72.4%が結婚しているのにも関わらず、非正規社員は29.9%、​パート​は23.8% 、​アルバイトは​ 23.3%しか結婚していません。


30代女性の統計では、はじめ正社員で入社した女性は約70%が結婚して、50%が出産していますが、非正規社員だと結婚している人は約50%、出産は約20%にとどまっています。


みんな自分の生活にいっぱいいっぱいで、結婚し、子供を出産することが難しいのです。しかも、全労働人口のうち40%にあたる2000万人程度が非正規社員で、平均年収は179万円、月15万円にも満たない状況。これでは少子化を止めるのは極めて難しい。


現政権が進めている富む人がもっと富む政策ではなく、普通に働く人たちが頑張ったら頑張った分だけ収入を得られるよう適切な再分配をしていくべきです。そのためには、働く皆さんの賃金をしっかり上げていくことが重要です。

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少子化テクノロジー立憲民主党衆院議員
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