霜降り明星はなぜ「第7世代」のリーダーなのか 明石家さんまにも食らいつくせいやの力量
「お笑い第7世代」の勢いがなぜすごいのか。霜降り明星のとくにせいやのポテンシャルを中心に分析。
■せいやの『七変化』
霜降りは松本人志をはじめツッコミの粗品が天才的であるように評価されがちだ。粗品の実力もさることながら、ボケのせいやこそに天才性の片鱗を感じるように思われる。
せいやが大きな成果を残したのは『M-1』優勝以上に『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』の『七変化』のコーナーだった。せいやはそこで歴代4位の成績を残している。
静寂の中、1人で7回連続のターンで笑わせるという非常にハードルの高い企画。単調な笑いでは飽きてしまうので、さまざまなバリエーションや意外性が要求される。
中でも尾崎紀世彦の歌真似をし、やりたい放題数分間やりスベったことをフリにしたのちスタッフを使うという、芸人の欲望と技巧性を融合させたネタは見事であった。
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■せいや vs さんま
またせいやは『アメトーーク!年末5時間SP』での「さんま vs 第七世代」の企画でも重要な活躍をしていたのだ。明石家さんまがゲストとなるとさんまの話が中心となり第7世代芸人が添え物となりかねない部分があった。
フォロー役の陣内智則もさんまのエピソードをフリがちなので一層そうなる危険があった。実際ここ20数年くらいの間に売れた芸人ならばそうなっていただろう。
しかしせいやはただのさんまの接待トークに甘んじることなく、さんま弄りネタやさんまの司会の仕方のものまねを披露するなどして攻め続けた。また周りの第7世代芸人に声かけをする様子は、実質的に第7世代のリーダーとしての役割を果たしていた。
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■霜降りというスター
現在、せいや自身は「第7世代」という言葉がどんどん大きくなっていることに言い出しっぺとしての不安を口にする。しかし実際は「第7世代」という言葉にみな期待をしているのだ。
何より霜降りには、大きく言ってナイナイより後、停滞しどんどん硬直化しているお笑い界の転換を成す革命者として十分なポテンシャルを見出すことができる。しかしTVの時代そのものがすでに転換点にもある。霜降りがお笑い界をどう変えていけるのか注目だ。
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(文/メディア評論家・宮室 信洋)