緊急事態宣言発令の今、若者たちはなぜ「高速バス」に乗りこむのか
新型コロナウイルス拡大を受け、7日に発令された緊急事態宣言。バスタ新宿にいた人に話を聞いた。
日々、新型コロナウイルスの感染者数が増加している都内。7日には、より一層の外出自粛などを呼びかける緊急事態宣言が発令された。
全国各地へ乗客を運ぶバスが集結するバスタ新宿(東京)の待合所でバスを待つ人々は、なぜこの時期に各地へ向かうのか。実際に話を聞くと、一概に「東京脱出」とは言い難い、厳しい現実が見え隠れしていた。
■「ギリギリ過ぎて嫌でした」
働きながら、ステップアップのため専門学校に通い始めた20代の男性は、静岡に帰るという。話を聞くと、開口一番学校の対応に不満を漏らした。
「デザイン系の仕事をフリーランスで受けているのですが、修行のつもりで今春から芸術系の専門学校へ。でもいきなり休校になりました(笑)。そもそも仕事は自宅以外でもできるし、東京にいてもやることないので田舎に一旦帰ろうかと」
仕事をしつつ専門学校に通うだけでも大変そうだが、「学校側も、授業するのかしないのか、直前まではっきりしないままで、急にメールと書類で休校の知らせが届いた。仕事もセーブしていたので、ギリギリすぎて嫌でしたね。学費は一括で払っちゃっているので、延期する分の授業がどうなるのか気になるところです」とスケジュールが大幅に狂ってしまったとか。
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■リラックスしていた男性は…
利用客ではない姿も見られた。「新宿が好きでさ、いつもよくここ来るの」と話す60代の男性。持参の折り畳み椅子を広げ、リラックスした表情で答えてくれた。
「本を読むために来た。ホテルのロビーに行ったりして読書することもあるよ。今日(声をかけたときは18時過ぎ)は22時までいるつもり」
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■「東京に寄るのは怖かった」
普段は岩手県内の大学に通っているという20代の大学生には、複雑な事情があった。東京までバスで来たのち、今度は21時50分発、6時着の便で大阪に向かう。
彼は「大阪で一人暮らしをする高齢の親戚の世話をしに行きます。利用者が激減しているせいかチケットが大幅割引になっていて、普段は片道1万2000円かかるところ、今回は往復で1万2000円になりました」と普段とは違う状況だったと明かしてくれた。
さらに「岩手は感染者が少ないので、乗り換えのため東京に寄るのは怖かった。ですけど、家族の中では一番若いので行くしかなかった。大阪に行ってもすぐに帰れるのかどうかわからないので、1か月くらいは滞在する予定です。大学もGW明けに再開なので」とも。
皆が一様に「東京脱出」をしようとしているわけではない。それどころか、向かわざるを得ない事情を抱えた若者の姿があった。
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(文/しらべぇ編集部・Sirabee編集部)