新型コロナで大打撃のゲーセン『中野TRF』 店長の退職は「未来のため」だった
どこかレトロな雰囲気が漂う街・中野にて愛されるゲームセンター『中野TRF』が、新型コロナによって直面した危機とは…。
■大事なのは「過疎の経験」があるか
対戦ゲームのコミュニティが好きで、とくに身内でワイワイ楽しむ空気感が大好きという長山氏。中野TRFの本質も、その辺りにヒントがあるようだ。
長山氏:店のこだわりというワケではないんですが、うちは『北斗』のときも「強い人を集めよう!」と思ったことはないんですよ。たまたまうちでプレイしていた人から、強豪が出たというか…。むしろゲームを長く楽しむには、初心者や中級者の方々が大切だと思っていますね。なので昔から、初中級者向けの大会やイベントを中心に行なっていました。
自分が思うに、ゲーセンを盛り上げていくにはコミュニティの中核に「過疎の経験がある」人がいるかどうかが重要と思っています。自分の好きなゲームで「人との対戦ができなかった」という経験が一度でもある人は、ゲーセンのコミュニティを本当に大切にしてくれますからね。
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■中野TRFの「秘策」
現在は休業状態にあり、収入がほぼほぼゼロになってしまった同店。しかしある「秘策」を用いて危機を乗り切っているという。
長山氏:中野TRFのすぐ隣に「新館」って呼ばれてるスペースがあるんですけど、ここは日替わりで筐体の中のゲームが変わったり、お客さんが持ち寄った基盤を使用して、お客さん主導でのイベントも行なえるスペースなんです。
今は当然そちらも閉まっているのですが、新館を自由に出入りできる「フリーパス」をネット上で発売開始しまして、購入してくれるお客さんが非常に多いのが助かっています。中には「投げ銭」という形でお金を寄付してくれる方もいらして、本当に感謝しています…。お陰で、中野TRFも新館も「夏までは問題ない」というスタンスで休業しております。
ただ、夏以降も追加の補助がなくて休業要請を受けていたらまずいぞ…という状態ではありますね。自分が退職するのではなく、「新館をなくしてしまう」という選択もあったのですが、今回はこちらを優先しました。この新館は、「未来のゲーセンの姿」だと思っています。