元ベイビーレイズJAPAN大矢梨華子 「アイドルだったから歌える歌詞がある」
1stミニアルバム『一恋一会』をリリースした大矢梨華子にインタビューを実施。アルバムに込められた想い、シンガーソングライターとして曲を作り歌っていく上での気持ちの変化など話を聞いた。
■歌詞の書き方が変わった
―――譲歩の「あたし」だったんですね(笑)。
大矢:“いつか毎朝服を選んだり”という喋り口調になるところも「さすが金田さんだな」と思いながら、歌うのはけっこう苦戦しましたね。ギターも難しかったんですけど、「できなかったらファンの人が悲しむよ」ってプレッシャーをかけられ、泣きそうになりながら練習しました(笑)。
この楽曲を一緒に作っていただく中で、金田さんから「ファンの人たちの前で歌ったら、その曲はもう自分の手元から羽ばたいていって、ファンの人たちが育ててくれるんだよ」と聞いて、そっか、自分で曲を作るというのは、そういうことなんだなって。
すごくいろんなことを勉強させていただいた一週間で、このタイミングで一緒に楽曲を作らせていただけて本当に良かったなと思いました。
―――お話を聞いていて、金田さんと一緒に曲を作った一週間はこれから大矢さんが曲を作っていく上で、すごく大きな影響を受けた時間になったと言っても過言ではないのかなと思いました。
大矢:そうですね。最初に「恋ってなんなんでしょね?」を歌うとき、まだ恥ずかしいという気持ちがあったんですけど、いざファンの方々の前で当日歌いますとなったときは、「聞いて聞いて」って。
「私はこういうことを思ってるんだ」という気持ちであったり、この後に作った曲はすごく自分を出しやすくなったんです。
今回のアルバムにも収録されている「コールドムーン」はちょうど同じくらいの時期に作ってたんですけど、まさに私が思ってた感情とか、本当に起こった出来事を初めて素直に歌詞に落とし込むことができて。
こうやって素直に自分の言葉で歌詞を書けたのも、「恋ってなんなんでしょね?」を金田さんと一緒に作らせていただいてるときに、もっと自分を出していいんだ、大矢梨華子にしか書けない言葉がたくさんあるんだと勉強させてもらったからで。歌詞の書き方が変わりましたね。
関連記事:26時のマスカレイド、ファン待望の『君は青のままで』フル尺MVが解禁
■アイドルからシンガーソングライターに
―――「コールドムーン」に書かれているのは、いつ頃の出来事や気持ちなんですか?
大矢:昨年、CODE OF ZEROさんと一緒に全国ツアーを回らせてもらったときのことですね。ソロになって初めてのツアーだったんですけど、車で移動してライブして、一息ついたと思ったらまた車で次の場所に行って…。本当に初めて経験することばかりでした。
今まではどんなときも笑顔でライブをしなきゃいけないと、グループ時代から思ってたんですけど、このツアー中はライブをしながらすごく泣けてくることが多くて、ツアーを回っているうちに、「今日はこんな気持ちでこの曲を歌ってる」というのがどんどん表現できるようになっていく感覚があったんです。
そのときの気持ちが、歌詞の“感情的になるのもたまには良いかもしれない”というところにも出ていて。
「この曲はこういう表情で歌おう」ということをソロになってからも決めて歌ってたんですけど、このツアーでは「今日の大矢梨華子はちょっとテンションが低いから、そこも曝け出して歌にしよう」とか、「めっちゃ今日はテンション高いから、落ち着いた曲かもしれないけど、笑顔で歌っちゃうなあ」とか。
その日にしか見せられないパフォーマンスっていうのを意識するようになって、ファンの方の前で「こういなくちゃいけない」というのがなくなっていった時期ですね。
歌詞も同じで、「こういう私でいなきゃいけないからこういう歌詞を書こう」じゃなくて、「こういう私も好きでいてね」と思いながら書くようになりました。
―――多種多様なアイドルの方がいて、パフォーマンスもキャラクターもそれぞれなので、もちろん一概には言えないのですが、アイドルって直訳すると“偶像”って意味じゃないですか。そう考えたときに、アイドルからシンガーソングライターになっていく過程を切り取った一曲なんだと思いました。
大矢:そうですね。アイドルだった自分も自分で、それをさらに超えて曝け出すというのは難しかったんですけど、今一番ナチュラルにファンの方の前にも立てているように感じるので、私自身はすごくいい変化だったのではないかと思っています。