ヒーローのパンチとビームは暴行罪? 知らないと怪獣に訴えられる可能性も
弁護士であり、実はご当地ヒーローのMCのお姉さんでもある阪口采香先生が、ヒーローの行為を日本の刑法の観点でチェック!
■刑法が適用されるとしたら…?
もし、刑法が適用されるタイプのヒーローだったとして、ヒーローの行為は刑法に触れるのでしょうか?
「日本の」刑法が適用されるための別の問題として、日本国内で起こったことか、国外であれば日本人が関与していることも必要ですが、ややこしいので、ここでは日本国内に怪獣が現れた場合を想定して、話を進めたいと思います。
ヒーローが怪獣にパンチやビームをしたら、暴行罪になるかどうかから考えてみましょう。暴行罪の対象は「人」であり、地球人を指すものと考えられます。そうなると、怪獣は人ではありませんので、パンチをしても暴行罪とはなりません。
つまり怪獣の正体が肝心になり、以下の場合が考えられます。
・怪獣が人間に飼われている場合:「飼い主」である人に対して器物損壊罪が成立する可能性はあります。ただし怪獣を放っておくと、周りの人々の生命や身体に危険が生じます。それから守るためなら緊急避難となり、処罰されない可能性もあります。
・怪獣が変身させられた人間だった場合:こちらは暴行罪となりそうです。しかし、ヒーローはまさか怪獣が人だとは思わないので、故意ではないといえるため、暴行罪は成立しないと考えられます。
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■戦う相手を見定めるべき
ただし、ヒーローが悪いことをしている人間にパンチをしてしまった場合には、暴行罪となり得ます。
パンチで留めた場合には、悪者がしようとしていたことによっては緊急避難や正当防衛となり、処罰されない可能性もあります。ところが丸腰の人間に対してビームをしてしまった場合には、ヒーローだけ武器を使っていることになりますので、過剰防衛で処罰されてしまうかもしれません。
ヒーローの皆さまは、相手の正体を見定めた戦い方をしてくださいね!
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(取材・文/しらべぇ編集部・Sirabee編集部)