峰なゆか、漫画『AV女優ちゃん』で描くリアル 「男の人も女の人も“AV観”が変」
『AV女優ちゃん』第一巻を発売した峰なゆか氏にインタビューを実施。結婚や育児についても話を聞いた。
■「よく見ないふりをしていられるな」
―――『AV女優ちゃん』の帯では、バカリズムさんが「知りたかったことも知りたくなかったことも 『AV女優ちゃん』は全部教えてくれる」とコメントされています。
峰さん自身、世の中の人たちが「知りたくなかった」部分をあえて伝えようという思いもあったのでしょうか?
峰:知りたくなかったことっていうか、よく見ないふりをしていられるな、と思っていて。最近、ポルノハブ(ポルノ動画サイト)の違法動画が大量に削除されたじゃないですか?
そのとき、動画が削除されたことに怒っている人がたくさんいて、「漫画村のときと全然態度違うじゃん!」と思いました(笑)。
公式で販売されているAVを違法アップロードした動画を、何も考えずに見る人って、一体どういうつもりなんだろう。
エロにお金を払いたくないという、こだわりがある男の人って、すごく多い気がするんです。AVだけじゃなくて、風俗に行くとか、女の子にプレゼントすることとかも。負けた感じがするっていう、その強い意思はどこから生まれるのでしょうか。
―――なぜAVに出演する人がいるのか、その構造にまで考えが至っていない人は確かに多いと思います。だから、違法アップロードされた動画でも、その人たちは何も思わずに観られるんでしょうね。
峰:男の人も女の人も、私から見ると、“AV観”が変というか、歪んでるなと思います。男の人は、AVは自分に都合のいいエロを届けてくれる媒体で、出演者は見下して罵倒していい対象と思っている。
女の人は「全然自分とは関係ない世界っす」という感じだったりするんですけど、関係なくはないのではないだろうか、と思います。もしかすると、今30代、40代の人でも、今後出演するかもしれないわけじゃないですか。
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■「穴も袋も両方経験したのね」に衝撃
―――巻末には、女性学研究家の田嶋陽子さんとの対談も掲載されています。対談を改めて振り返ってみて、田嶋さんの印象はいかがでしたか?
峰:対談の中にあった、田嶋さんの「女は男にとって穴と袋なんだ」という言葉もそうなんですけど、強烈でしたね(笑)。
「私、今年出産したんです」と言ったら、田嶋さんに「穴も袋も両方経験したのね」って、かわいそうな感じで言われたのが、私はすごくワクワクして。
自分でも妊娠中は「私は子の入った袋だ」と思っていたし、二度と出産は経験したくないと思っているので。
普通、「出産しました」って言ったら、みんなは「おめでとうございます」じゃないですか? そうじゃない言葉を初めてもらいました。
―――僕も「おめでとうございます」と言ってしまっていましたが、今後は別のパターンの言葉を考えないといけないなと思いました…。
峰:でも、「袋を経験したのね」は怒る人もいると思うので、「お疲れさま」って言うのがいいと思います(笑)。