R−1でゆりやんレトリィバァが優勝した理由とは ZAZYらとハイレベルなトップ争い
ピン芸は「お笑い」の根本。ミスとは関係なく、ゆりやんがお笑いの自由の女神なのだ。
■2度目の驚きはなかったZAZY
一方で、ZAZYのファイナルステージは、最後に何を見せてくれるのかと思いきや、1本目のネタと同じ構造だったのがまず残念なところだっただろう。
そしてそうでなくても、最終フリップの「なんそれ!」にいくまでの驚きやボケの強さ、話の全体的なまとまりの大きさといい、1本目のネタと比べるとバランスが悪いものだったと思われる。
せめて1本目とファイナルステージのネタが逆であれば、結果が変わる可能性もあったのではないだろうか。よって、フリップのめくりのミスが結果に影響したわけではないと思われる。
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■「笑い」の自由の女神
本来、「お笑い」は、コンビのものではないし、ボケとツッコミという形式が必要なものでもないし、当然、型が必要なものでもないはずだ。
漫才が重視されるどころか、最新の『M-1』のように、「しゃべくり漫才」でないことを視聴者が問題にし、芸人たちがそれを否定するという展開は異常事態といっていいだろう。
21世紀に入ってから、「お笑い」はどんどん窮屈なものとなっている。バラドルをはじめとして、非芸人の笑いが注目されるのは、この風潮を反映しているだろう。
『R-1』こそ、芸人がより自由度に溢れるお笑いを取り戻す重要な大会ではないだろうか。ゆりやんは、古き良き自由の笑いを担う、自由の女神なのかもしれない。
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(文/メディア評論家・宮室 信洋)