標準木と標本木、どちらが正解? 東京・靖国神社のソメイヨシノは開花寸前
今年も記録的に早くなりそうな桜の開花宣言。東京の基準となる靖国神社のソメイヨシノの状況は…
3月に入って暖かい日が続き、桜の開花予想が日に日に早まっている。しらべぇに連載中の気象予報士・千種ゆり子さんのコラムで、2月4日における東京の開花予想は3月21日。
それが、2月25日の発表では3月17日に早まり、3月8日発表では3月16日開花との予報に。東京のソメイヨシノ開花としては観測史上最も早かった(3月14日)だった昨年に迫る勢いだ。
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■6種類の「生物季節観測」のひとつ
桜の開花は、気象庁が現在も行っている「生物季節観測」のひとつ。2020年までは植物・動物を対象に以下のように幅広く行われていたが、今年1月からはアジサイ・イチョウ・ウメ・カエデ・サクラ・ススキの植物6種類のみに絞られた。
サクラについては「開花」と「満開」が現在も観測の対象となっており、全国一般的にはソメイヨシノ、北海道の一部ではエゾヤマザクラ、沖縄県と奄美地方ではヒカンザクラを観測している。
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■標準木か標本木か
サクラの開花を判断する「基準となる木」が存在することをご存知の人も多いだろう。これを「標本木」という。
北は稚内から南は石垣島まで定められているが、東京では靖国神社の境内にあるものがよく知られる。2010年に観測史上最も早くソメイヨシノが開花(3月10日)した高知県では、下の写真にある高知城のサクラがそれにあたる。
なお「標準木」と呼ぶ人もいるが、これは間違い。「観測の対象となる標本」なので、標本木が正しい。
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■5〜6輪咲くと「開花」
写真は10日朝8時の標本木(靖国神社)で、開花に最も近そうに見えた蕾を撮影したもの。ほのかに花弁のピンクが見え始めている蕾も1つ2つあるが、「5〜6輪が咲く」という状態はまだもう少し先のようだ。
なお、全体の8割程度の花が咲いた状態が「満開」となる。
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■ウメやイチョウの標本木は北の丸公園に
生物季節観測が残った植物のうち、ウメ、イチョウ、カエデ、アジサイの標本木は靖国神社にも程近い北の丸公園にある。ウメの標本木は、2017年までは東京大手町にあった気象庁の中にあったが、2018年から気象庁の移転に伴って北の丸公園の中のウメの木にバトンタッチしている。
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(取材・文/しらべぇ編集部・タカハシマコト)