渋谷駅前に「彼女募集」おじさん現る 恋バナと気配り上手なナイスガイだった
渋谷駅前に出現すると話題の「恋人募集」というのぼりを掲げた初老の男性。PRの意図を本人に直撃してみると…。
■「自分が結婚したい」だけではない行動理念
「彼女募集」という言葉を聞き、人々はどんな印象を思い浮かべるだろうか。軽薄で軟派なイメージを抱く人もいるかと思うが、園田さんにとってこの言葉は真摯極まりない意味合いを持つもの。
「自身の交際相手、結婚相手を探している」という目的もあるが、結婚していない全ての人たちに「結婚をしよう!」と呼びかけるのが彼の行動原理だという。
「非正規雇用などが原因で貧しい状態にあったり、社会的に追いやられてしまった未婚の人々に向けて『結婚をしよう』と呼びかけるのが私の目的です」と語る園田さん。
本人も未婚である彼は「私の場合は結婚できなかった理由が、自分自身に問題があった」と感じているものの「現代には社会的原因によって結婚できない人がたくさんいます」と嘆く姿も見せた。
また「自身の両親に孫の顔を見せてあげられない」ということに大きな引け目を感じているそうだ。ちなみに園田さんの両親は存命で、両名とも90歳を迎えているという。
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■職質も辞さないスタイル
結婚の素晴らしさを説くため、渋谷駅の目の前でパフォーマンスを続ける園田さん。しかし声をかけてくるのは「年収や仕事」に関する質問を投げかける女性や、「女なんていくらでもいるだろ」と侮蔑的な言葉を投げかける男性ばかりだという。
現代では「恋人募集」という言葉そのものが持つ意味が薄れ、「旅行先で見かけた異性に声をかける」といった程度の熱量に過ぎないと見なす人々が増えていると嘆く姿を見せた。
記者が彼と会話した17日はもともと、飯田橋駅周辺でこちらの活動を行なっていたが、職務質問のプレッシャーが激しく、渋谷駅まで移ってきたという。
「恋人募集」の呼びかけを6年以上続けている園田さんは当然、交番の真ん前である渋谷駅前でも何度も職質を受けているが、「渋谷駅の警官は比較的マシ」と妙に達観した様子も見せてくれた。
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■急に復活した理由
ツイッターで「渋谷」「恋人募集」というワードを検索すると、園田さんの姿がここ1週間でやたら話題になっていることが確認できた。
それ以前は活動を休止していたのか本人にたずねると、それ以前は「ドナルド・トランプ氏に扮した活動を渋谷駅周辺で行なっていました」とのことで、内容は大きく異なるが「渋谷駅を拠点とした活動」を継続していたようだ。
ひと目だけ見ると完全に異質な存在の園田さんだが、記者が彼に近づいた際はしっかりマスクを装着して応対してくれたほか「昼にニンニクを食べたので…」と、申し訳なさそうな表情でブレスケアに励む姿も。
また写真撮影には快く応対しつつも「後ろに写っている方々の顔はしっかり消してあげてください」と忠告するなど、周囲への配慮を忘れない誠実さが言動の節々から感じられた。
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(取材・文/しらべぇ編集部・秋山 はじめ)