「女性差別なんて生っちょろい」 NHK教育テレビの内容がネットで波紋
障害者差別問題の深刻さを伝える番組企画の中で、なぜか女性差別問題を引き合いに出した『ハートネットTV』。視聴者からは「ショック」という声も
22日放送のNHK教育テレビ『ハートネットTV』の、障害者への差別問題を扱った番組の内容が、インターネット上で波紋を広げている。
■「女性差別なんて生っちょろい」
同日の放送では、盲目の男性弁護士がスタジオに出演。
東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗元会長の女性蔑視発言が世界的に問題視されたことに対して、「女性差別なんて生っちょろい」「女性差別って世間がこんなに騒いでくれて羨ましいなと思いますね。障害者差別ってもっとえげつないことが沢山あるのに、全然騒いでくれないんですよ」と発言し、障害者差別の深刻さを訴えた。
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■障害者弁護の現場では非情な判決も
男性弁護士は、「いまやっている裁判でも、視覚障害のある女の子が交通事故に遭ってしまったのですが、『この子は将来どうせ、健常者と同じだけの仕事ができないから損害賠償の額は7割だ』なんて判決が出ちゃったりしてるんです」と、障害者弁護の現場から深刻な実情も明かす。
そして「こういうことで、本当に女性差別なんて生っちょろいぞ、なんて思うんだけど、世間はあんまり騒いでくれないんですよね」とし、「女性と男性を区別することは『差別』だけど、健常者と障害者を分けることはいまだに『区別』。事実として違うのだから仕方がないと言われてしまう」と、いまだに差別だと認識すらされない実情を嘆いた。
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■ネットで波紋が広がる
インターネット上では、女性差別問題と障害者差別問題を比較するような番組の構成に様々な声が。
番組側は、「女性差別なんて生っちょろい」という発言を切り取り、公式SNS等でも積極的に発信する姿勢を取っており、「これがハートネットTVから出てきてしまうことが、かなりショック」「公共放送であるNHKの福祉番組がこのような形で女性差別を引き合いに出したことが問題だと思う」など、様々な意見が飛び交い波紋を広げている状況だ。
「障害者差別についても、もっと知ってほしいという思いは切実なものだろうと思う」「別の差別とどちらのほうが大変だという比較はする必要がなかっただろうと思う」と、男性弁護士が訴えた障害者差別問題の実情は重く受け止めつつも、その一方で女性蔑視的な内容を放送した番組側の対応に、ショックを受けたという人が目立っている。
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(文/しらべぇ編集部・衣笠 あい)