タクシー乗務員を困惑させる“選手村エリア”通行規制 頼りのナビは「沈黙」
東京五輪まで1ヶ月を切った。都内では開催に向けての準備が急ピッチに進んでいるが、一方で熟練のタクシードライバーまでも悩ませる「とある問題」が発生している。
7月23日に開幕する「東京2020オリンピック」。開幕まで1ヶ月をきった今、東京のタクシードライバーたちを悩ませる問題が発生しているという。
■「一切通れなくなっちゃった」
23区北部に営業所のある某タクシー会社のドライバーに話を聞いた。「じつは6月23日から豊洲エリアと晴海エリアを結ぶ環状2号線に通行規制が張られて、一切通れなくなっちゃったんですよ。営業所からも言われていなかったので突然すぎて驚きましたね」という。
ドライバー歴10年。プライベートでも都内をよく走ることからとっさに迂回ルートを思いつき、その時は事なきを得た。「お客さんを乗せてたので、だいぶ焦りました。晴海には選手村があるから仕方ないのでしょうが、『晴海大橋』が9月半ばまで通れないと聞いて、何もそんなに長く止めなくても…と思いましたね」と苦笑する。
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■車載ナビは感知せず…
交通規制は前々から公表されていたが、1年の開催延期決定の後、開催か中止か揺れ続けた経緯もあり、なかなかここまでスポットが当たらなかった可能性もある。現にツイッター上でも「とうとう規制が始まったけど、早すぎひん? 豊洲大橋(豊洲市場~選手村前)通られへんやん 」「無茶苦茶めんどくさい迂回路に回される」といった嘆きの声が次々上がり始めているのがその証左だ。
しかし、車載ナビがあれば交通規制は即座に判明するはず。「いえいえ、車に載っているナビが旧式なのか知りませんが、オリンピック関連の通行止めが一切表示されないんです。幸いにもうちの会社はUber Taxi(アプリを使った配車サービス)を導入していたので、それ専用のスマホが配られていて、そっちのナビだと通行止めがちゃんと表示されるんです」と続ける。
調べてみると、晴海エリアは大通りから、細い裏通りまで非常に細かな交通規制が公表されており、通行禁止の期間は6月23日からのケースもあれば、7月13日からのケースも。一度に記憶するのは困難だ。「正直、しっかり覚えるまでは晴海エリアには近づきたくないというのが本音ですね(笑)。『なんで遠回りするんだ』とお客さんとトラブルになるのも嫌なので」(前出のドライバー)。
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■迂回ルートは混雑?
一般道と同様、同じエリアにある首都高速晴海入口も7月19日からは進入禁止となる。しかも8月8日に一旦解除された後、8月24日〜9月5日の間は再び進入禁止になるという変則スケジュール。
高速もそうだが、当然のことながら迂回ルートは車が殺到する可能性が高く、深刻な渋滞が発生する恐れもある。事前の説明会などを行なっているタクシー会社もあるはずだが、今回話を聞いたドライバーのように、なかなかタクシー業界全体で足並みを揃えるのも大変なようである。
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■「会場出入口」も事前把握が必要
東京都オリンピック・パラリンピック準備会HPを確認すると、競技が行われる20数カ所の体育館、競技場、スタジアム周辺でも細かく交通規制と迂回ルートが紹介されており、注記が満載となった地図の入りPDFファイルは25個にも及んでいた。
「一番怖いのは、『陸上競技を見に行くからオリンピックスタジアム(新国立競技場)に向かって!』などと指示された場合。オリンピックの際の一般入口が私はどこなのかわからない。外国のお客さんなんかを乗せて、仮にスタジアムの反対側とかで降したらかわいそう。開催までに改めて降車ポイントを頭に入れておかないといけないね」とドライバーは続けて吐露する。
開催前には大通りを使った聖火リレーもある。オリンピック開催期間はタクシーにとってかき入れ時になりそうだが、一方で“不安”も背中合わせのようだ。
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(取材・文/しらべぇ編集部・キモカメコ 佐藤)