究極の2択迫られた店主、まさかの行動に… 正直すぎる「謝罪文」に注目集まる
とあるたい焼き屋の店頭に出現した張り紙。その衝撃的な内容が、ネット上で大いに話題となっているのだ。
■店構えのインパクトがスゴい
行田市といえば、国宝「金錯銘鉄剣」(きんさくめいてっけん)が出土した「稲荷山古墳」や、日本最大の円墳である「丸墓山古墳」など、9基の大型古墳が群集する「埼玉古墳群」を有し、埼玉県名発祥の地としても名高い、歴史のある市。
「足袋の名産地」としても有名で、2017年にTBS系列で放送されたテレビドラマ『陸王』ではロケ地に抜擢されている。また2018年には同系列・日曜劇場『下町ロケット』の撮影が行われ、ドラマ関連の聖地としても注目を集めていた。
行田市の大地から伝わる歴史の鼓動を感じつつ、記者が分福屋へ向かうと…該当する住所に、突如「張り紙だらけ」の建物が現れたではないか。
完全に「借金取りの差し押さえがヤバい店」か「範馬刃牙の家」かと見間違えてしまうアバンギャルドな外観をしているが、何を隠そうこちらの建物こそが件の分福屋である。
大量の張り紙はもちろん借金取りによるものでなく、同店店主が貼り出した「愛情」と「ユーモア」がたっぷり詰まったメッセージなのだ。
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■利益が出ていなかったワケは…
取材を快諾してくれた店主・橋本さんに、まずは話題となった「あんこ量」の張り紙について話を聞いてみたところ、たい焼きを販売しているうちに橋本さんは「全く利益が出ていない」ということに気づいたそう。
その際、業務の細かい点をチェックしていくうちに「通常のたい焼きの2倍の量のあんこを使用していた」という、とんでもない問題点にぶち当たったのだ。
「目分量であんこを入れていくうちに、どんどん量が多くなってしまったんですよね…」「もし自分がたい焼きを買う立場だとしたら『これくらいあんこが入っていたら嬉しいな〜』と感じる量を入れており、いつの間にか量が増えてしまった…というワケです」と、照れ笑いを浮かべつつコメントする橋本さん。
あまりに利益が出ない状況が続いたため、店を畳むか単価を上げるかという極限状態に追い込まれ、そこで第3の選択である「あんこを減らす(従来に戻す)」という道に踏み切ったのだ。
店としてはかなり苦渋の選択だったようで、「今までたい焼きを買ってくださったお客様方に本当に申し訳ないと思いまして、『ごめんなさい』とお知らせするつもりで張り紙を出し、写真に撮ってツイートを投稿することにしたんです」というコメントも見られた。
しかし「謝罪」のつもりで投稿したツイートが思いもよらぬバズりを見せ、橋本さんも大いに驚いている様子。
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■高クオリティなたい焼きに感動
続いては、同店のたい焼きを実食してみることに。
まずはスタンダードな「つぶあん」をオーダーしてみると、とても量が減ったとは思えないほど、あんこがたっぷり詰まったたい焼きが登場。よくよく考えてみれば「次第にあんこの量が多くなっていった」ワケなので、あんこが「減少した」のでなく、「通常の量に戻った」と捉えるのが正解だろう。
また、同店のたい焼きは決して「甘すぎない」のが最大の特徴。皮のサクサク感との相性も抜群で、あんこがあまり得意ではない記者でもペロッと平らげてしまった。
続いて登場したのは、9月30日までの限定販売となる「キャベツ」たい焼き。
こちらは天かす、キャベツをたっぷりと詰め込み、マヨネーズとソースをかけて焼き上げるという、お好み焼きのような独特の風味が魅力だ。
最後に、所狭しと店内に貼られた張り紙や付箋について尋ねてみると、橋本さんは「焼き時間の6分間、お客様を飽きさせないようにと思い、貼り始めたのが切っ掛けです」「張り紙を見ているうちにたい焼きが焼き上がり、付箋に書いたメッセージからお客様との会話が弾むこともあるんですよ」と、笑顔で答えてくれた。
「今回のツイートを見て当店を知ってくださった皆さまに、ぜひ行田という街の良さを知って頂ければと思います」「あの張り紙が、行田の発展や活性化に繋がれば、これ以上の喜びはございません」と呼びかける橋本さん。
記者が取材で訪れた際は、小学生くらいの年頃の少年が店を訪れ、橋本さんに感謝の手紙を手渡している様子がなんとも印象的であった。地域の人々から愛される分福屋、ならびに人々の思いやりを育む地・行田市をぜひ一度は訪れてほしい。
【店舗紹介】
「たいやき処 分福屋 厚之助」
埼玉県行田市佐間1丁目6−5
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(取材・文/しらべぇ編集部・秋山 はじめ)