「消火器」の下に置かれたサイン、よく見ると… あまりに粋な正体に称賛相次ぐ
富山県のとある寺院で見かけた「消火器」の看板。その驚きのクオリティに、反響の声が多数寄せられているのだ。
■井波の彫刻技術がスゴすぎる…!
木彫りの消火器サイン。かわいい。 pic.twitter.com/EEVw8GqmiA
— 平田悠 (@hira_hirary) September 15, 2021
出張で井波に向かった際、空き時間に瑞泉寺を訪れた平田さん。「井波は木彫りが有名な街ということで、山門の装飾なども素晴らしく、なるべく細部を見落とさないようにゆっくり巡っている中で、消火器のサインを見つけました」と、当時の様子を振り返る。
また「寺社の装飾というと『細部までつくり込まれた繊細さや迫力があるもの』となんとなく想像していたので、少し間の抜けたキャッチーさが印象的でした」「それでも、時間がた経って少し色褪せ、木目がくっきりしている点や、火を消す水を思わせる下部の装飾など、見れば見るほどしっかりデザインされていて、井波の彫刻の幅広さを実感しました」と、大いに感動した様子で語ってくれた。
続いて「井波彫刻協同組合」に確認したところ、件の消火器の看板は2008年に新商品開発事業として、同事業委員の一人である花嶋弘一氏が制作に当たったものであると判明。
同組合は欄間や修復事業だけでなく、『ウルトラ』シリーズでお馴染み「円谷プロダクション」とのコラボ作品や、スマートフォンスピーカーやエレキギター等、新しい時代にあった作品制作に力を入れているという。
「伝統」と「革新性」を違和感なく融合させたそのチャレンジ精神には脱帽である。
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■瑞泉寺のその他看板を見ると…
なお瑞泉寺には、今回話題となった「消火器」の他にも、「井波彫刻協同組合」の手がけた彫刻の看板が多数設置されているのだ。
例えば「土足禁止」「禁煙」「立入禁止」といった禁則事項はもちろん、「お手洗い」や「宝物殿」の案内書きも全て木彫りと言うから驚きである。
いずれも彫刻作品としての趣向を凝らしているばかりでなく、かわいらしい「アイコン」的なマークがしっかり彫られているのが微笑ましい。
最後に、ツイッター上にもあがっていた「木彫りの消火器サインは法的な問題はないのか」という懸念点をめぐり、瑞泉寺に話を聞いてみたところ、同寺院では件の木彫りを「サイン」や「看板」でなく、あくまで「彫刻作品」として展示していることが判明した。
そのため消火器付近の柱には、木彫り作品とは別に「消火器」と明記された赤いプレートが据え付けられていることも、改めて強調しておきたい。
井波を訪れた際は、素晴らしい彫刻作品の数々を、ぜひその目で確かめてみよう。
【施設詳細】
「瑞泉寺」
富山県南砺市井波3050
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(取材・文/しらべぇ編集部・秋山 はじめ)