某スーパーの果物売り場、どう見ても修羅の国… じつは「慈愛の精神」の結晶だった
とあるスーパーの果物コーナーで遭遇した光景。ライバル意識の凄まじさが話題となっているが…。
■巨峰だけでなく「きゅうり」もスゴかった…
巨峰売り場バッチバチで草 pic.twitter.com/vIotY9gRpP
— うえはらけいた|漫画家 (@ueharakeita) September 27, 2021
ツイート投稿主のうえはらさんに発見時の様子を尋ねると、「巨峰コーナーの中に随分記載の長い商品が一つだけあったので、近づいてみたらコレでした」という回答に加え、「このお店は以前から商品名が面白い商品をよく仕入れていたので、また面白いの入れたなぁ、と笑ってしまいました」と、気になるコメントが。
うんうん、そうだね、頑張ったね、と涙目になってしまう私はちょっと疲れている pic.twitter.com/NpcVqgfXEK
— うえはらけいた|漫画家 (@ueharakeita) June 10, 2021
そこで以前発見したという「きゅうり」の写真を見せてもらうと、こちらでは「大きくなれなかったけどおいしいきゅうり」という、どこか応援したくなってしまう名前の商品が販売されていたのだ。
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■なぜこのような名前になった?
続いて「サミット」の担当者に詳しい話を聞くと、これらの一風変わった商品名をつけたのには、決してライバル意識の助長などではない、崇高な理由があることが分かった。
まず「たねがあるからこそおいしい巨峰」という商品名についてだが、現代では技術の進歩と共に「巨峰はたねがないものが主流」となっている。もちろんたねがない方が食べやすくはあるのだが、「巨峰はたねがある方がおいしく育つ」というのは、販売者・生産者たちの間では当然の見解となっているそうだ。
こうした事情を踏まえ、「サミット」担当者は「お客様からのニーズが高いたねなしの巨峰を提供するのは勿論ですが、巨峰本来の魅力を提供するのも、青果物に携わる身として、食を扱う者としてあるべき姿と感じ、こちらの商品を展開しております」と回答してくれた。
その際に「たねに関する細々とした説明を書いただけでは、読んでもらえないだろうな…」と感じ、説明とは別に否が応でも目に入る「商品名」にひと工夫を入れたというのだ。
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■サミットの崇高な意志に敬礼
また「大きくなれなかったけどおいしいきゅうり」という商品名が決まった経緯にもしっかりと理由があり、きゅうりを育てる上では「花が咲いて実がついても、決して立派な大きさにならないきゅうりを早めに剪定する」ことが重要となってくる。こうしないと、他のきゅうりに回る栄養が分散されてしまうからである。
こうして剪定されたきゅうりはサイズ感こそ物足りないものの、じつは味に関してはしっかりおいしいのがミソ。しかし通常であれば農家の方で消費したり、捨てられてしまったりと、決して「商品」として表舞台には出てこないのだ。
そんな不遇の青果物たちを見て、「少しでも農家の方々の救いになれば…」という思いから件の「インパクトネーム」を命名し、店頭での販売を実施した、というワケである。
なお、2017〜2018年頃に「強風に耐えた長ネギ」という商品を販売したところ消費者から大きな反響があり、その際に「商品のバックグラウンドを知ってもらう商品名をつけること」の重要性を感じ取ったそうだ。
また、担当者は「お客様がサミットで少し変わった名前の青果物をお買い上げになり、その晩の食卓で『商品の名称』についてご家族で話題になれば…食卓を囲むご家族の団欒のひと時に会話を提供できれば、『食』に携わる身として、これほど嬉しいことはございません」とも笑顔で語ってくれた。
一連のインパクトネームは一部店舗だけでなく「サミット」全店で使用されているという。今後「サミット」を利用する際は、ぜひ商品の名前を意識しつつ、買い物を楽しんでほしい。
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(取材・文/しらべぇ編集部・秋山 はじめ)