新型コロナ重症化リスクが1.4倍? 気になる遺伝子解析を受けてみた
なりやすい病気や体質などもわかるという遺伝子解析。コロナ禍の今だからこそ調べてみる意味とは。
■専門の医師に聞いた
こうした遺伝子解析の結果をどのように判断して、日々に活かしていったらよいのだろうか。取材班は、「ゲノム健診 byドクター」というサービスも展開している先端予防メディカルセンターでセンター長を務める、医師・医学博士の高瀬敦氏に話を聞いた。
同センターは、2019年に慶應義塾大学医学部発のベンチャーとして誕生。健康診断とゲノム解析を組み合わせて、医学的見地からアドバイスを行っている。
記者が一番気になった(高い数値が出た)「COVID-19(呼吸不全)」について聞いてみたところ、「この項目自体も、解析している遺伝子が3つあります。そのうち、どこが高いのかというのも関係します。また、日本人に数%しかいないような遺伝子型で高リスクという結果が出たら、気をつけたほうがいい」と高瀬医師。
また、新型コロナについては、この項目だけでなく、「SARS感染後の症状(記者の結果は「一般的」)」や「インフルエンザ感受性(記者は「低い」)」、さらに白血球数、CRP値などを総合的に判断することも必要とのことだった。
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■健診と組み合わせて
前立腺がんの遺伝的リスクも高かった記者。この点についても高瀬医師に聞いてみたところ、「1つの遺伝子でがんになるのであれば、日本人の1/3くらいがなってしまう。これだけで一喜一憂する必要はありません」とのこと。
「疾患のリスクなどは、遺伝要因と生活習慣や食生活といった環境要因の両方が起因しますが、どちらの要因の寄与が大きいかは、疾患ごとに大きく異なります。自分の家族歴や健診結果などから気になる疾患の傾向を知ったうえで遺伝子情報を解釈することが大切です」との回答だった。
ただ、素因を持っていることになるため、年に1回、前立腺がんのPSA検査やエコー検査を受けるといった心がけもよいでしょうとのアドバイスも。
「大切なのは、遺伝子だけに頼らずに毎年の健診を受けて過去から現在までの健康状態の変化を評価すること。そして、健康状態の変化に関わる生活習慣、食事、運動、活動、睡眠などを見直し最適化することが予防につながる」と語る高瀬医師。
自分の遺伝子型を知り、毎年の健診で気になることがあったら、医師による専門的な助言を受けるのがよさそうだ。
■新しい研究・論文で進化
2003年にヒトゲノムの解析が終了した後、さまざまな遺伝子診断サービスが行われている。記者が利用したユーグレナ・マイヘルスも2018年から診断を提供しているが、早くも新型コロナ関連の診断項目があるのにはちょっと驚いた。
同社に聞いてみたところ、新しい研究結果や論文が発表されるたびに月1回ほど項目が追加・更新されるそう。たとえばコロナ関連の項目は、昨年8月に追加された。
遺伝子型は変化しないため、過去にサービスを受けた人は追加された項目についても自分の結果を見ることができる。コロナ禍以降、遺伝子解析の利用者はかなり増えているとのこと。
リスクがかつてなく身近になった時代だからこそ、もう一度自らの健康に目を向けてみることも大切だろう。
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(取材・文/しらべぇ編集部・タカハシマコト)
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