『M−1』漫才の”脱正統化”が停滞した理由 錦鯉の勝利とオズワルドの敗北
錦鯉が王座に輝いた今年の『M-1グランプリ』を、正統派漫才論争の流れから考察する。
■“脱正統派”の機運
また今回の『M−1』は、決勝進出メンバーが決まった時点で、“脱正統派”漫才が期待された。昨年の『M−1』では、マヂカルラブリーの優勝に対し、「漫才論争」が巻き起こる。これは、ナイツの塙宣之も著書で指摘する、正統派の「しゃべくり漫才」との距離の問題だ。
今月2日には、革新的な漫才で優勝したマヂカルラブリーの野田クリスタル自身が「どうあがいてもお笑い情勢変わる決勝メンバー」とツイート。ニューヨークや見取り図でなく、オズワルドやランジャタイらが決勝進出したからだろう。
関連記事:松本人志、『M−1』決勝組発表にひと言 「目が離せない」とファンも興奮
■錦鯉のバランス
決勝進出メンバー確定時点で、“脱正統派”の機運を昨年から受け継いだのだ。ファイナルに挑んだ3組でいえば、インディアンスが非常に正統派漫才寄りで、オズワルドは、非正統的傾向。
錦鯉も本来的には非正統的な漫才のはずだが、錦鯉が披露した漫才は、十分に正統派しゃべくり漫才の要素も多かったのではないだろうか。漫才のバランスを整えたのは、オズワルドだけではなかったのだ。