ここ最近注目される「ルッキズム」 法的に問題となるケースを弁護士が解説
ここ数ヶ月の間で、注目されている「ルッキズム」という言葉。弁護士が解説。
■法律に触れるケースもある?
他人の容姿について、「ブス」「チビ」「ハゲ」などの暴言はもちろん、近年では「かわいいね」などの発言も問題視されています。こうしたルッキズムが法律に触れる可能性はあるのでしょうか。齋藤健博弁護士によると…
齋藤弁護士:「ルッキズム」自体は新種の用語のように思われますが、じつは認識される以前から横行していた考え方であるともいえます。問題は、法律に触れるかどうかです。ズバリ、それは局面によるといえます。
どういうことかというと、たとえば採用試験において、専らルッキズムの観点からのみ採用選考をしたとします。この場合には、企業側の裁量が働きます(誰を雇い入れるかは自由)。
しかし、仮に内定を出した状態で、今度はルッキズムの観点から本採用を拒否したとします。これは違法判断に至る可能性は高いのではないでしょうか。
観点を替えて、ルッキズムの観点からのみ、雇用主が労働者を評価して、賃金に差異を与えたとします。これは到底合理性があるとは見ることが難しいので、違法判断に至るのではないでしょうか。
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■もし被害を受けたらどうすれば…
ではもし、ルッキズム発言で不快な思いをした被害者は、加害者に対してどのような手段をとることができるのでしょうか。また、その際はどんな点に注意すれば良いでしょうか。
齋藤弁護士:ルッキズムにのみ、もとづいているものかどうかは一つの判断基準になるでしょう。
たとえば、その視点からのみ、専ら人物評価をする書き込みをしたのであれば、名誉棄損や人格権侵害とまでは言えないようにも思われますが、たとえば、名誉棄損的表現を、ルッキズムの観点からのみした場合にはどうでしょうか。
その文脈に応じて、不必要な評価を名指しでしているのであれば、名誉棄損や不法行為が成立する余地も生じてきます。要は、どんな状況かが重要です。
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(企画・文/弁護士・齋藤 健博)