詐欺防止ポスターに出現した偉人、何かがおかしい… 「謎の説得力」にツッコミ相次ぐ
とある空港で目撃した詐欺防止のポスター。その内容を受け「お前が言うんかい!」とツッコミの声が寄せられているのだ。
■140年後の福井市で思わず感動…
春嶽および福井藩の貸金のその後について、コメントを寄せてくれたのは「福井市立郷土歴史博物館」。
同館と「高知市立 龍馬の生まれたまち記念館」という施設では、龍馬と福井市の繋がりや、ほぼ同時期に開館することなどを縁として、2004年の両館開館時に姉妹友好館提携を結んでおり、その際に郷土歴史博物館で行なわれた姉妹館提携調印式において、高知市長から福井市長に、ある感謝状が贈られたというのだ。
その内容がなんとも粋なもので、同館の担当者は「勝海舟の名代(代理)として福井を訪れた坂本龍馬を信用し、神戸海軍操練所建設のため5千両を貸してくれたことを感謝しつつ、そのお金は時間が経ち過ぎて返せないのでご容赦願いたい、というものでした」と、当時の様子を振り返っている。
こちらの感謝状は、江戸時代にも用いられていた「候文」という文体で記されていたというのだから、高知市のセンスには脱帽の一言。小粋なメッセージを受けて福井市長もこれを承諾しており、エピソードを聞いているだけで胸が熱くなってこないだろうか。
つまり、今回話題となったポスターが誕生する約10年前に、両市の間では「借金」に関する解決が済んでいたのである。
なお感謝状は現在も、郷土歴史博物館のロビーに龍馬の銅像や友好館締結書と共に展示されており、自由に観覧可能とのこと。
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■感謝状の「その後」も最高だった
その後は両館で小学生の訪問などの交流事業が行なわれたり、昨年2021年には福井・高知市の間で「龍馬ゆかりの地 プロモーション・パートナーシップ協定」が締結されたりと、非常に良好な関係が続いている両市。
なお、こちらの協定については「先の姉妹館締結で借金は帳消しになりましたが、利子については頂いていないので『観光PR合戦をしましょう』と福井市が吹っかけ、始めたものです」という補足も見られ、これまたユーモアあふれる舞台裏がなんとも微笑ましい。
「借金」と聞くとあまり良いイメージを持たない人の方が大多数かと思うが、今回の事例では借金を契機とし、数世代後の子孫らの間で強固な「友情」が育まれたワケであり、やはり人生も歴史も、何が起こるか分からないものである。
【施設詳細】
「高知県立坂本龍馬記念館」
高知県高知市浦戸 城山 830番地
「福井市立郷土歴史博物館」
福井県福井市宝永3丁目12−1
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(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ)