「入社したら3年は働け」説は本当? リクルートに聞いた最新の”転職状況”
「会社辞めたい」と思っても「入社3年説」にとらわれがち。だが、経験年数は重視されていなくて…。
■「異業種に転職する人が多い」
ここ数年、転職する人には「特徴」があるという。「異業種に転職する人が増えています。『転職は即戦力だから同職種でないと決まらない』と思っている人もいるかもしれませんが、いま同職種に転職する人は5人に1人の19.6%しかいません。もちろん、会計士など専門性が高く、その分野でないと難しい仕事もあります」(前出・藤井さん)。
企業側からしても、同じ業界よりも違う業界の人を求める傾向があるということだ。その背景には、人材不足があるという。「企業側のデータとしては、景気が悪いのに人が足りない状況です。チャンスはあるのに、人がいないために事業拡大できないんです。今までのビジネスだけやっていても厳しくなるので、デパートがインスタグラムで商品を販売するなど新しい事業をします。そうなると、インスタグラムに精通している20代の人が欲しいと考える。新しい事業を始めるとなると、違った業界にいた人のほうが適しているんです」(前出・藤井さん)。
企業側は前職での経験年数はそこまで重要視しなくなっている。「旅行代理店で働いていた方がコロナ禍で業績が厳しくなり、エンジニアに転職して成功したケースがあります。そのかたは、旅行会社でコミュニケーション能力や折衝力があり、高い学習意欲があってもともとプログラミングの勉強をしていました。企業側はそうした成長志向が強く、コミュニケーション能力がある人を求めます。専門知識はなくても、自ら課題を設定するポータブルスキルを求めるんです」(前出・藤井さん)。
入社1年目、2年目であっても、十分チャンスはあるということだ。
関連記事:神田愛花、ハローワークで見た転職の現実を告白 「NHKアナの肩書きが…」
■パワハラから1年で退職
ただ、転職を考える人は、スキルアップが目的のケースばかりではない。パワハラや長時間労働などで、肉体的にも精神的にも苦痛をきたし、働き続けることが難しくなってしまうケースもある。
新卒でマスコミ関係の会社に入社したものの、1年で退社したAさんもその1人だ。「大学のころからマスコミ業界で働きたいと思って入社しました。しかし、勤務時間が長く、休みの日も上司から仕事の電話がかかってきて、無理やり朝まで飲み会に付き合わされて、精神的に限界になって辞めようと思いました。1年で退職するのは不安でしたが、なぜ前の会社が合わなかったのか、前職で培った経験をどう生かすかを自分なりに分析して、メーカーの営業職に転職できました。周りの人からは『3年は働かないと…』と言われましたが、我慢して辛い仕事をするよりは、転職も1つの選択に入れてもいいのではないでしょうか」(Aさん)。
もちろん、同じ会社でコツコツと経験を積んだり、いまの仕事にやりがいを見出せなくても別の部署で自分の能力を発揮できるケースもあるため、転職だけがすべてではない。だが、「入社3年」という考えに固執せず、転職を1つの選択肢に入れることで、新たな世界が見えてくるかもしれない。
・合わせて読みたい→永野芽郁、女性CEO役でTBSドラマ初主演 7月放送『ユニコーンに乗って』
(取材・文/Sirabee 編集部・斎藤聡人)