この標識、見てると脳がバグりだす… 地元民も引っかかる「二重のトラップ」が判明
地元の人々の間でしか伝わらない表現というのは決して珍しくないが、中には「地元の人間まで困惑する」という、摩訶不思議な言葉が存在するようで…。
■「西」が意味するのはじつは…
沖縄で最も人を迷わず標識がこちらです pic.twitter.com/Yvb3TkxNYm
— えいとびーと🎱 VRC (@eightbeat8b) June 3, 2022
察しの良い読者であれば即座にピンと来たかもしれないが、標識の「西(北)」表記の真下に添えられた英語表記を見ると「西」が「Nishi」と日本語読みのまま記されているのに対し、「北」は「North」と英語で表記されていることに気が付く。
こちらが重大なヒントになっており、じつは標識も書かれた「西」は方角でなく那覇市内の地名であり、「北」は同地区の北側を意味する…というのが、上記内容の真相だったのだ。
なお沖縄県道路管理課からは「他にも同地区の南側には『西(南)』と表記された標識がございます」という補足も。これにて一件落着…と思いきや、じつはこちらの標識には県外の人間には思いもよらない「沖縄県民が陥りがちなトラップ」が潜んでいたのだ。
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■「沖縄県民だからこそ」陥るトラップ
ツイート投稿主のえいとびーとさんは沖縄県民だが、「この表記は県民でも違和感ありますね」と語る。
…と言うのも、沖縄には東西南北をそれぞれ「アガリ」「イリ」「フェー」「ニシ」と呼ぶ方言が存在するため、呼び方は「ニシ」でも、実際は「北」のことを意味していた…といったケースも起こり得るのだ。
そうした背景もあり、件の標識は他県民からすると「西なのか北なのかどっちだよ!」と疑問に感じられ、沖縄県民に対しては「そうだね、ニシは北だね。あれ、方角の話じゃないの?」という誤解を誘発する可能性が高い、まさに二重のトラップのような存在といえる。
東と西の呼び名はそれぞれ、太陽が東から上がり、西に入ることに由来して「アガリ」「イリ」と呼ぶそうなのだが、なぜ北のことを「ニシ」と呼ぶようになったのだろう。
こちらの疑問を払拭すべく、Webコミックサイト「くらげバンチ」にて漫画『沖縄で好きになった子が方言すぎてツラすぎる』を連載中の漫画家・空えぐみ氏に、詳しい話を聞いてみると…。
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■「北なのにニシ」のワケに思わず納得
沖縄の文化や風習に対する強い愛情とリスペクトを感じさせる「異文化ラブコメ」作品で人気を博している空氏。
今回の疑問に対しても「『ニシ』の語源については『いにしえ』から来ていると聞いています。古代に北の朝鮮半島から人々が移動して来たので『いにしえの地』という意味が転じて『ニシ』になったとのことです」と、非常に丁寧に回答してくれたのだ。
また県内にある「西原」という地域は、首里の北(ニシ)に位置することに由来して「ニシハラ」という名前が付けられたのだが、漢字を当てる際に「西」の字が採用されたため、とんでもなく分かりにくい表記になってしまったのだとか。
なお、これら沖縄の東西南北に関するネタは偶然にも、つい先日公開となった「第49話 ミーニシ(新北風)」という話にて登場したばかり。
沖縄の魅力と青春の輝きが見事に凝縮された同作を、ぜひチェックしてみてほしい。
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(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ)