気象予報士がドラマ『NICE FLIGHT!』を考察 超レアな気象現象も…
玉森裕太さん演じる倉田粋は「ツイてる」と話題です。描かれている気象現象はどれだけレアなのか? まとめてみました。
金曜夜にテレビ朝日系列で放送されているお仕事ドラマ『NICE FLIGHT!』。このドラマを通じて航空業界に興味を持った人も多いのでは? 気象予報士の千種ゆり子が、実際に現場で働く人に聞いた話を中心にお伝えします。(ネタバレを含みます)
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■冒頭シーンから局地的な気象状況
第1話の冒頭シーンでは、Kis−My−Ft2の玉森裕太さん演じる倉田粋副操縦士が乗務する航空機に「マイクロバーストアラート」が出され、着陸が難しい気象状況となります。
マイクロバーストとは、局地的な下降気流のことです。マイクロバーストが滑走路の近くにある場合、離着陸を一時的にストップするのが日本での運用となっています。ここで注目したいのは、滑走路の「近く」とはどれくらいの近さを指すのか、ということです。
以下は実際に現場で使われている図の例です。
この図では20km付近まで描かれていますが、空港や滑走路の5km圏内を特に警戒して運航しているようです。
これだけ局所的な範囲内にマイクロバーストが出る恐れがあったタイミングで着陸しようとしていたというのは、やはり「ツイてる」と言われても仕方ないと思われます。
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■風向きと風の強さも、まるで“台風”だけど…
マイクロバーストに加えて、当時の風の状況からも、かなり珍しい状況であったことがわかります。
ドラマ内で真夢が言っていた風は150度(南東~南南東)からの風で20ノット(約10m/s)でした。この風向きでこれほど強い風は羽田空港においてはめったに発生せず、あるとしたら台風が接近しているときが多いそうです。しかし、ドラマを見る限り台風が接近している様子はありませんでした。
つまり、台風も接近していないのに羽田で150度20ノットという風が着陸前に吹いていたということは、極めて倉田副操縦士は「ツイてる」ことになると感じました。
(飛行機を見守る羽田の管制塔。筆者撮影)