緊張の台湾情勢も今年有事は発生するのか 鍵を握るのは習近平氏の判断
台湾有事を巡って緊張がエスカレートした昨年。今年もその情勢が続くが、今年習近平は台湾の政局を様子見する可能性も…。
昨年夏、米国のナンバー3とも言われるナンシー・ペロシ米下院議長が台湾を訪問したことで、中国が軍事演習やミサイル発射など対抗措置をこれまでになくエスカレートさせた。
■8月に緊張が高まった台湾情勢
その後も今日に至るまで緊張は続き、ジョー・バイデン大統領は台湾への防衛支援を強化するだけでなく、習近平氏も台湾を核心的利益の中の核心とバイデン大統領に伝えるなど、関係当事者の間で歩み寄るような姿勢は全く見えない。
すでに台湾問題は米中双方にとって譲れない問題になっている。習氏は長年台湾を内政事項に位置付けていることは周知の事実である一方、米国にとってはグアムやハワイの安全保障、西太平洋での軍事的プレゼンスを維持する上で、台湾問題自体が米国の国家安全保障問題になってきている。
よって、ポストバイデンであっても台湾問題では譲らない姿勢を堅持することになる。
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■台湾では総統選挙が
だが、今年台湾有事は発生しないとの見解も聞かれる。じつは、2024年1月には台湾で総統選挙が行われる。現在の蔡英文氏は2期目であり同選挙には立てず、新しい指導者が台湾で誕生することになる。
要は、今後の政局情勢によるが、中国と融和的な姿勢を示す新たな指導者が誕生する可能性もあり、習氏としてはそれも排除していない。そうなれば台湾有事のリスクは必然的に下がることになるが、反対に蔡英文氏とイデオロギーも政策も同じような指導者が誕生すれば、有事のリスクは上がることになる。
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■様子見の可能性も?
今年はそれを見据える上で極めて重要な年となり、習氏としてもとりあえずは様子を見る年になろう。だが、仮に今年蔡英文氏の後継者が政局で徐々に有利になれば、2023年末あたりに中国が何かしらの攻勢を仕掛けてくる可能性もあろう。
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(取材・文/セレソン 田中)