参考書コーナーで遭遇した本、何かがおかしい… 「親の顔より見た」と感動するオタク続出
書店の参考書コーナーで遭遇した書籍、イラストにどこか見覚えが…。00年代を生きたオタクたちからは、感動の声が上がっているのだ。
■それにしてもKADOKAWA、ノリノリである
書店の高校学参のコーナー通ったら、「こ、これは00年代初期のエロゲ絵!え、絵師は誰だ!!」と確認したら、樋上いたる氏だった上に、各45万部以上売れていた。俺は気が動転した。 pic.twitter.com/rwFDDDOoSK
— 花見川 (@ch1248) January 29, 2023
今回の取材に応じてくれたのは、なんとKADOKAWAの出版事業グループ 教養・生活文化統括 教育編集部 学習参考書1課の編集長を務める原賢太郎氏。
こちらを受け、記者は「わざわざ編集長がやって来るなんて、ひょっとして自分は何かタブーに触れてしまったのか…?」と大いに動揺してしまったが、じつは「参考書」と「萌え文化」の融合に、原編集長が少なからず関係していたことが明らかになったのだ。
今回話題となった参考書『大学入試 漆原晃の〜』シリーズ以前より、「萌え要素」を表紙に取り入れた同社の参考書は定期的に注目を集めており、今から約20年前、現在はKADOKAWAのブランドになっている「中経出版」社から出版された漫画家・江川達也氏のイラストを表紙とした参考書は特に話題を呼んだそう。
原編集長は「これまで参考書というと、シックで地味な印象が強かったのですが、そうしたイメージが変わる切っ掛けになったと思います」と振り返っている。
なお、現行の『大学入試 漆原晃の〜』シリーズは14年から刊行されたベストセラーなのだが…なんと当時の原編集長が担当を手がけた書籍であることが判明したのだ。
ひと言に「オタク」や「萌え」といっても、これらのトレンドが年代ごとに大きく異なるのはご存知の通り。そうした事情がある中で「少なくとも10年間は販売できるような、目立つような表紙にしたい」という思いを念頭に、樋上の起用に踏み切ったそう。
結果として、刊行から9年が経過した23年に思わぬバズりを見せた…ということで、当時の原編集長の思いは見事に成就したのだ。
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■KADOKAWA編集長、オタクの鑑だった
近年では表紙のデザインはそのままに「帯にかわいらしいイラストをつける」パターンも主流。「水と油」に思われた参考書と萌えの関係性だけに、こうした細部のバランス調整が何よりも重要となっているのだろう。
とはいえ、黎明期には社内でも「暴走しすぎ」と指摘する声が上がっていたようで、原編集長はその代表として『CD2枚付 里中哲彦のセンター試験 英語[リスニング]いっき集中攻略法』(現在は取り扱い終了)なる参考書を挙げる。
制服姿で猫耳の少女キャラクターがヘッドホンを首にかけ、ポーズをとったイラストは確かにかわいらしい…のだが、参考書の表紙となると、やはり「攻めの姿勢」を感じてしまう。
なお、営業サイドから「やりすぎ」と怒られるも、当時の原編集長は「リスニングらしくて良いじゃないか」と意志を曲げなかったそうで、いちオタクとして敬意を表したい。
今回話題となったシリーズの他、KADOKAWAではかわいらしいイラストを表紙に構えた参考書を、現在も多数発行している。表紙イラストの担当者は若手社員の提案で決まるケースが多いそうで、「そうした感性は若い方々の方が優れています」とのコメントも得られたのだ。
日本が世界に誇る「オタク文化」との融合は、今後も思いもよらぬシーンでお目にかかれるはず。
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(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ)