津波で削られ「日本一低い山」になった日和山 標高3000mmから見える景色は…
東日本大震災の津波被害にあった“日本一低い山”日和山。実際に足を運んでみると…?
日本一の山…と聞いたとき、“日本一高い山” 富士山を思い浮かべる人が多いはず。では、その反対の“日本一低い山” がどこにあるか、知っているだろうか。
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■津波で“削られた”山
標高たった3mの“日本一低い山”、それは「日和山(ひよりやま)」。所在地は宮城県仙台市宮城野区蒲生…12年前、東日本大震災で津波の被害にあった場所だ。
震災前までは標高6mある“日本で2番目に低い山”だったが、津波で山が削られてしまう(大阪・天保山が地形図に掲載された1996年までは1位だった)。その後、2014年に国土地理院の調査で「標高3mの山」として確認され、再び地形図に掲載されることになり、再び日本一低い山に返り咲いたのだ。
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■たどり着きにくいけれど…
たった3mなら、万年運動不足の記者でも登れるんじゃ!? と張り切って登山に挑もうとするも…公共交通機関ではなかなか行きにくい。
JR陸前高砂駅に出てバスに乗り、そこから30分歩くしかない。他のルートを選ぼうとしたら、徒歩50分とか出てきた。…歩くしかない!
中野新町でバスを降りると、見渡す限り工場が立ち並んでいた。アパートや家は、数えるほどしかない。以前は多くの住宅が並んでいたが、津波で流されてしまったという。
堤防の上を歩いていると、中野小学校跡地に作られた「なかの伝承の丘」モニュメントが。周辺はまだ工事中だ。
その他にも道路脇に移設されたお地蔵さんや高砂神社を拝みつつ、歩くこと35分。
ようやく日和山の駐車場が見えてきた…。
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■登山口から見える光景
ありがたい(?)ことに、日和山登山口はバリアフリー対応。登山のバリアフリー…。
階段を登ること30段…
…なにもないが。
あれか!! 堤防よりだいぶ低いぞ!?
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■落石にクマ注意?
30段登った階段を31段降り、たどり着いた日和山。
落石注意に熊出没注意…どこに!? どこから!?
6段登れば、山頂に到着。
達成感が…すごい! まったくない!!
驚きの速さで下山完了。
目の前には広がる蒲生干潟を見て、しばし休憩だ。やっぱり登山は最高だな!
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■しっかり登頂証明書も
登山口につくまでのほうがよっぽど辛い、日和山登山。感動を目に、写真に収めるのはもちろんだが…
中野新町から陸前高砂駅までバスで戻る途中、高砂市民センターに立ち寄れば、日和山の登頂証明書ももらえる。必要なのは山頂に到着した…という証拠(写真など)のみ。
「こんなところまでありがとうございます!」と声をかけてくれた係の方いわく、登頂証明書を貰いに来る人は「休日は結構いらっしゃいますよ、先日は5人とか!」とのこと。多いのか、それ?
市民センター内には震災前の写真が数多く飾られているが、先程見てきた景色との違いに愕然とさせられる。
登山時間たった1分、標高3000mmの日和山。日本一を制覇するとともに、改めて「震災の恐ろしさ」「忘れないことの大切さ」を感じられるはずだ。
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(取材・文/Sirabee 編集部・たつき あつこ)