習近平国家主席がロシア訪問でプーチン大統領と対談か 中露関係の行方は
ウクライナ戦争から1年が経過する中、習近平国家主席がロシアを訪問する可能性が報道された。しかし、中露の関係はそう単純ではなさそうだ。
最近、一部のメディアで中国の習近平国家主席がロシアを訪問してプーチン大統領と会談する可能性が報じられた。
■良好に見える中露関係
中国もロシアも米国と対立しているので、両国には対米で結束を図るメリットは大きい。ウクライナ戦争後も、中国は安価なロシア産エネルギーを爆買いしており、両国の経済関係は戦争とは関係なく強い。
最近、中国はロシアとウクライナを仲裁するという和平案を発表したが、それには大前提としてのロシア軍のウクライナからの撤退が明記されておらず、やはり中国はロシアの見方だなどと批判の声が広がっている。
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■じつは複雑な中露関係
だが、中露関係は決して良好ではない。この1年間のプーチン大統領の暴走について、習国家主席は本音のところでは良く思っていない。
戦争が始まったことによって世界的な物価高に拍車がかかり、世界経済は混乱し、それは当然ながら中国も直撃した。経済最優先で政策を進めざるを得ない今日の習氏にとって、それは大きな阻害要因でしかなかった。
また、ロシアの核使用の恐れが指摘されるなか、習氏は核兵器使用には反対すると明確な意志を示し、何から何までロシアと足並みを揃えることはないとの姿を見せた。
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■明確にNoの姿勢を示す?
こういった事情を考慮すれば、経済など協力できる分野ではさらなる結束を示す一方、相容れない部分ではプーチン大統領に対して明確にNoの姿勢を示す可能性もある。
今日、ロシアにとって安心して頼れる相手は中国しかいないので、習氏がプーチン大統領に自制を呼び掛けるしか、ウクライナ戦争終結に向けて策はないのかもしれない。
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(取材・文/セレソン 田中)