落選運動は「諸刃の剣」か 仕掛けた側の印象が悪化する傾向も
特定の候補を「落とす」ための落選運動が統一地方選挙でも展開されている。世間はどのような印象を覚えるのか調べてみたら…。
9日に投開票が行われた統一地方選挙の前半戦。道府県知事や政令市議会議員の選挙などが行われ、日本維新の会が勢力を大きく伸ばした一方、日本共産党が議席の約1/4を失うなど惨敗を喫する結果となった。
そんな中、最近じわじわと拡がっているのが、SNSなどを活用した「落選運動」だ。
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■特定候補の落選を目指す運動
落選運動は、候補者を当選させるために応援する選挙活動とは異なり、政策や価値観が異なる特定の候補者の落選を目指すもの。対抗候補の当選を目的としていなければ選挙活動には当たらず、現状では公職選挙法の規制を受けない。
英語では、ネガティブキャンペーンと呼ばれる候補者への攻撃を中心とした運動は、米大統領選などでは幅広く行われるものの日本ではSNSの普及とともに少しずつ拡がってきた印象だ。
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■はねのけて当選果たす候補者も
今回の統一地方選挙でも、同性婚や選択的夫婦別姓に反対する議員の落選を目指す「ヤシノミ作戦」や、不適切な会計処理について厚労省の担当者が国会答弁している一般社団法人Colaboに関するものなど複数のリストが拡散している。
とくに、川崎市議選で「Colabo追及」を旗印に選挙戦を展開した浅野文直議員(自民/当選7回)に対しては、激しい落選運動が行われ、投票前日にはSNSのみならず地元紙による名指しの批判記事も掲載された。
なお浅野氏は、落選運動との関連は不明だが選挙ポスターを破られるといった嫌がらせも受けながら、前回を上回る5位(9議席中)で7回目の当選を果たしている。こうした運動は、世間や有権者にどのような印象を与えるのだろうか。
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■仕掛けたサイドのほうが印象悪化
Sirabee編集部が、4月10〜12日にかけて全国10〜60代男女1,000名を対象に調査したところ、「落選運動によって対象候補の印象が悪化する」と答えた人は6.9%。
一方、「落選運動を仕掛けた人たちの印象が悪化する」という回答は、その5倍に迫る33.0%となっている。最も多かった答えは、対象候補も仕掛けた側も「どちらも印象が悪化する」との意見で、全体の42.4%を占めた。
仕掛けたサイドのイメージ悪化を厭わなければ、共倒れ的に一定の効果がありそうにも見える落選運動。しかし、今回の調査からは、対象者よりも仕掛けた側の印象悪化のほうがより大きいという状況がうかがえる。
海外とは異なり、足を引っ張るように見えるネガティブキャンペーンは、日本社会では良い印象を与えづらいのだろうか。
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■女性はやや距離感か
ちなみに、男女別でもやや意識差が見られた。「対象候補の印象が悪化する」と答えた人は、女性より男性のほうがやや多い。一方、「どちらも印象が悪化する」という答えたは女性のほうが7ポイント近く多くなった。
他者を攻撃する、というやり方への忌避感ゆえか、女性のほうが落選運動には心理的距離感を感じているのかもしれない。
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(文/Sirabee 編集部・タカハシマコト)
対象:全国10代~60代男女1,000名(有効回答数)