日本人の約4割、富士フイルム正式名を誤解していた じつは「発音」にも注意点が…

日本人の約4割が「富士フイルム」の正式名を誤解していたことが判明。社名のルーツを同社に取材すると、さらに驚きの事実が明らかに…。

2023/04/28 04:45


富士フイルム

世の中には「あれ、どっちだったかな…」とおぼろげに記憶してしまう事象が多々あるが、その正式名称が誕生した「背景」を知ると、思わず納得してしまうもの。賢明なる読者には既知の事実として映ったり、「細かすぎるだろ!」とツッコミを入れたくなるケースもあるかと思うが…決して少なくない人々が「誤って記憶している事象」の正体について探っていきたい。

今回取り上げるのは、Sirabee読者から多数のリクエストが寄せられた「FUJIFILM」ロゴでお馴染みな企業の、正式表記についてである。

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■フィルムとフイルム、どちらが正しい?

富士フイルムグラフ

まず注目したいのが、全国の10〜60代の男女1,000名を対象に実施したアンケート調査の結果。

「『富士』から始まる精密化学メーカーの正式表記はどれ?」という設問に対し、全体の62%が「富士フイルム」、残る38%が「富士フィルム」と回答していたのだ。

富士フイルム東京ミッドタウン本社
(富士フイルム東京ミッドタウン本社)

なお、同社名は「富士フイルム」が正式表記だが、「フイルム」でなく「フィルム」という表記を使用するのが一般的だろう。そこで今回は同社名の由来と歴史を探るべく、「富士フイルム」に取材を敢行することに。

その結果、驚きの事実が明らかになったのだった…。


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■「読み」と「書き」で違う、と思いきや…

今回、改めて「富士フイルム」の名を見て「キヤノン」「キユーピー」「シヤチハタ」といった企業名を連想した人も少なくないはず。

これら3社は「書き」と「読み」が異なる企業で、「キヤノン」は「キャノン」、「キユーピー」は「キューピー」、「シヤチハタ」は「シャチハタ」と発音するのが正しい。

変わった法則を採用する3社はその理由も共通しており、以前取材を実施した際には、全社から「全体のバランスを考慮して大きな文字を使用している」という回答が得られたのだった。

富士フイルム

そのため記者は今回、内心では「富士フイルムも、読むときは『富士フィルム』と発音するんだろうな」「やはり社名全体のバランスを考えて大きな『イ』を採用しているんだろうな」などと、半ば決めつけに近い予想をしていた。

しかしいざ、富士フイルムホールディングス担当者に電話で取材を打診したところ「はい、富士フイルムでございます」と、明らかに大きな「イ」を意識した発音が聞こえてきたではないか…。


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■富士フイルム、かなり熱い企業だったと判明

そう、じつは同社名はキヤノンやキユーピーの法則とは異なり、表記する際も「富士フイルム」、読む際も「富士フイルム」と発音するのが正解だったのだ。そこでまず「富士フイルム」という社名が誕生した経緯について、同社の歴史について尋ねてみることに。

すると、担当者は「富士写真フイルム株式会社(現・富士フイルムホールディングス)が創立された1934年当時は、『フヰルム』という表記が一般的でした」と前置き。続けて「当社のルーツは『大日本セルロイド株式会社』の、写真フヰルム部に遡ります」「ある日、同部の看板を眺めていた浅野修一社長が『(カタカナの)イの方がよろしかろう』と言って、『フイルム』に改めました」と、現代にまで続く「フイルム」表記が誕生した瞬間について説明する。

富士フイルム

そして1934年(昭和9年)に同表記を受け継いだ「富士写真フイルム株式会社」が創設され、同企業が社名を変更したのが現在の「富士フイルムホールディングス株式会社」、そして富士写真フイルムの事業を承継したのが「富士フイルム株式会社」というワケだ。

創業2年後の1936年に国産化したレントゲンフィルム
(創業2年後の1936年に国産化したレントゲンフィルム)

前出のとおり、かつての日本では「フヰルム」という表記が一般的だったが、「富士写真フイルム株式会社」が製品名にも「フイルム」と表記したこともあって、一般的にも「フイルム」という表記が浸透していったというから、同社の影響力の強さが窺えるというもの。

1986年に発売した初代「写ルンです」
(1986年に発売した初代「写ルンです」)

その後、次第に外来語の一般化に伴って「フイルム」も、外来語の発音により近い「フィルム」という表記・読みが一般的になってくる。しかし同社は「社名は固有名詞であり、創業当時から変更していない」と、「フイルム」表記を継続している。

ミラーレスデジタルカメラ「FUJIFILM X-T5」
(ミラーレスデジタルカメラ「FUJIFILM X-T5」)

この「一度決めたことを貫き通す」というスタンスから、富士フイルムの熱い思いが感じられないだろうか。


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■「富士フイルム」表記が広く認識されたワケは…

富士フイルムグラフ

今回の調査における年代ごとの回答結果を見ても、全ての世代で過半数が「富士フイルム」と回答しており、改めて同社の知名度の高さが分かるというもの。

インスタントカメラ“チェキ”「INSTAX mini 12」
(インスタントカメラ“チェキ”「INSTAX mini 12」)

調査結果を受け、富士フイルムホールディングス担当者は「当社はBtoB分野では医療機器や複合機、BtoC分野ではインスタントカメラやスマホプリンターのINSTAX“チェキ”、化粧品の『アスタリフト』シリーズ等、幅広く商品を展開しています。そのため幅広い世代に当社の社名の正しい表記をご認識頂き、今回の結果に繋がったのではないかと考えております」と、コメントしている。

化粧品・ASTALIFTシリーズの製品ラインアップ
(化粧品・ASTALIFTシリーズの製品ラインアップ)

これまで同社を「富士フィルム」と発音していた人は、今日からこっそり「富士フイルム」と改めてみよう。

デジタルマンモグラフィシステム「AMULET_SOPHINITY」
(デジタルマンモグラフィシステム「AMULET_SOPHINITY」)

今回のように細かい部分の表記で、多くの人が誤解していそうな商品名・企業名・チェーン名等があれば、ぜひSirabee編集部に情報を寄せてほしい。日常に隠れている小さな『気になる』の謎を共に解き明かそう。

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(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ

【調査概要】
方法:インターネットリサーチ
調査期間:2023年4月16日~2023年4月18日
対象:全国10代~60代男女1,000名 (有効回答数)

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