日本人の8割超、シャチハタの「正式名」誤解していた 80年前の秘密に思わず驚き…

「シャチハタ」の呼び名でお馴染みのハンコ、じつは8割以上の日本人が「正しい表記」を勘違いしていたと判明。80年前に知られざるエピソードが…。

2023/04/04 04:45

シヤチハタ

「シャチハタ」の呼び名でお馴染みのハンコは、まさに「一家に一台」という表現が適切なアイテム。それどころか、玄関に1つ、タンスに1つ…といった具合に、複数個所持している家庭も珍しくないだろう。

こちらの呼び名は同商品を展開する「企業名」と同じだが…じつは多くの日本人が「正式表記」を誤解していると判明したのだ。賢明なる読者には既知の事実として映るかもしれない…とも感じつつ、決して少なくない人々が「誤って記憶している事象」の正体について探っていこう。

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■「シャチハタ」と書きたくなるが…

まず注目したいのが、全国の10〜60代の男女1,000名を対象としたアンケート内での「ハンコの製造でお馴染みな企業の正式表記は?」という設問に対する回答結果。

シヤチハタグラフ

全体の83.7%が「シャチハタ」と回答し、残る16.3%が「シヤチハタ」を選択している。改めてシャチハタの認知度の高さが感じられる結果となったが…じつは、同企業名は「シヤチハタ」が正しく、「シャチハタ」は誤答なのだ。

性年代別の回答結果を見ると、ほぼ全てのグループが正答率2割未満。辛うじて50代男性グループは、28.7%が正しく「シヤチハタ」と回答している。

シヤチハタグラフ

とはいえ、日常生活の中で耳にする際は「シャチハタ」が基本。というか「シヤチハタ」と、「ヤ」を大きくして呼んでいる人に遭遇した記憶がない…。そこで今回は「シヤチハタ株式会社」に、社名および商品に関する疑問をぶつけてみることに。

その結果、驚きの事実が明らかになったのだ…。


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■電話だと「シャチハタ」呼びだが…

早速、電話にて取材の打診をしたところ、電話口の担当者は開口一番「はい、シャチハタでございます」と返答。

やはり「シャチハタが正しいのか…?」と疑問を抱きつつ、メールにて詳細な取材概要を送ると、返ってきたメール文面には「シヤチハタの○○でございます」という表記が見られ、何を信じれば良いのか分からない状態に陥ってしまった。

しかし同社のこれらの対応は、何一つ矛盾していないという。そう…同社名は「シヤチハタ」が正式な表記だが、読み方は「シャチハタ」になるというのだ。

すると、当然の疑問となってくるのが「なぜ、わざわざ大きな『ヤ』を採用しているのか?」という点。こちらの謎を解明する前に、まずは一度同社のルーツについて確認しておこう。

シヤチハタ担当者は「当社の前身となる『舟橋商会』は、1925年(大正14年)にスタンプ台の製造販売にて創業しました。当初は日の丸を商標に“日の丸印の万年スタンプ台”として販売していましたが『日本の国旗を商標に使ってはいけない』と指摘を受けて急遽、他の商標を考えることになりました」と、創業時のエピソードについて語っている。

シヤチハタ

続いて「悩んだ末に、本社のある名古屋のシンボルでもある金の鯱を日の丸の中に収めました。こうして“鯱旗印(しやちはたじるし)の万年スタンプ台”ができました。社名については1941年(昭和16年)に、個人経営から会社組織に改めた際、シヤチハタ工業株式会社(現・シヤチハタ株式会社)となりました」と、詳細を説明。

そして本題となる「大きなヤ」採用の経緯については、「社名の発音としてはシャチハタ、で小さい『ャ』となりますが、文字にする場合は社名ブランドとして認知され易いように、また文字のバランスなど外観の美しさなどを考慮して大きな『ヤ』としています」とのコメントを寄せてくれたのだ。

確かに、改めて見ると「シャチハタ」より「シヤチハタ」の方が安定感があり、バランスがよく感じられる…。


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■あのハンコ名、「シャチハタ」じゃなかった

シヤチハタ

なお、朱肉を用いずに押せるハンコを「シャチハタ」(シヤチハタ)と呼ぶと考えている人も多いかと思うが、じつはそれも誤り。こちらの特徴を持つ、シヤチハタのメガヒット商品の名前は「ネーム9」だというのだ。

シヤチハタ担当者は「スタンプ台の製造販売で順調に成長してきた当社ですが、1950年代に日本が高度経済成長に差し掛かり、少しづつ事務の合理化や機械化が進んできました」と、会社にとって大きな転換期となった時期について語り出す。

当時の社会情勢を鑑みて、同社の創業者は「この先、スタンプ台を使って押印する業務がなくなるのでは」と危機感を抱くようになったのだ。そして10余年の歳月をかけ、1965年(昭和40年)に、スタンプ台を使用しなくとも押せるゴム印『Xスタンパー』を開発。

3年後の1968年(昭和43年)には、我々が「シャチハタ」の通称で親しんでいる、朱肉を使わずポンポンと押せるハンコ『ネーム』(発売当初の名称)が誕生したのだ。なお、今からじつに55年前となる当時は認知度が低く、全く売れなかったというから驚きである。

シヤチハタ

しかし70年代に突入するや否や、風向きが一変。担当者は「1970年の大阪万博の記念スタンプとしてⅩスタンパーが使われたことや、テレビCMによるネーム印の宣伝効果もあって、どちらも徐々に知られるようになり、売り上げも伸びていきました」と、笑顔で語ってくれたのだ。


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■じつは他にも似た企業名が…

今回の「シヤチハタ」の話題を見てピンと来た人もいるかと思うが、日本にはシヤチハタだけでなく、「キヤノン」や「キユーピー」など、表記と読みが異なる企業がいくつか存在する。

一風変わった共通点を持つ企業同士、やはり少なからず「仲間意識」にも似た思いがある模様。

今回の取材に際してシヤチハタの担当者は「キヤノンさま、キユーピーさまは、それぞれの商品のトップブランドとして親しまれています」「企業規模こそ違いますが、生活者に寄り添う思いは同じですので、新しいことに挑戦する姿勢を見習いながら、当社としても人々の暮らしを豊かにする商品・サービスを生み出していきたいと思います」と、粋なコメントを寄せてくれたのだ。

今回明らかになったエピソードを知った上で「ネーム印」を見ると、改めて歴史の重みが感じられないだろうか。

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(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ

【調査概要】
方法:インターネットリサーチ
調査期間:2023年1月27日~2023年1月30日
対象:全国10代~60代男女1,000名 (有効回答数)

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