阪神・佐藤輝明の力強い逆転2点打 「絶対に打つと決めていた」
24日、阪神タイガースと東京ヤクルトスワローズの試合で、佐藤輝明内野手が9回逆転2点二塁打を放った。
首位を快走する阪神タイガースの勢いが止まらない。徳俵に足をかけながら、驚異的な粘り腰でうっちゃった5月24日の東京ヤクルトスワローズ戦は、今シーズンを象徴するような試合だった。
■連続三振に倒れ…
1点リードの9回、ヤクルト・高津臣吾監督は守護神・田口麗斗をマウンドに送った。阪神は、打撃好調の近本光司から始まる好打順だ。
しかし、リーグトップの11セーブを挙げている左腕に対し、虎のリードオフマンはフルカウントから見逃し三振。続く、3割打者の中野拓夢も厳しいコースにバットが出ず、連続三振に倒れてしまう。
敵地・神宮球場に詰めかけた虎党たちも、さすがに、この日は負けを覚悟したに違いない。ところが、「野球はツーアウトから」を証明する攻撃が、ここから始まる。
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■試合をひっくり返した一打
相手外野手のまずい守備にも助けられ、3番の新外国人ノイジーが幸運な三塁打で出塁すると、4番の大山悠輔は粘って四球で出塁。長打が出れば逆転という場面で打席に入ったのは、5番の佐藤輝明だった。
田口が投じた初球の真っすぐを振り抜く。打球は鋭いライナーで右翼線を破り、ノイジーはもちろん、一塁から大山も生還して試合をひっくり返した。
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■「絶対に打つと決めていた」
殊勲の決勝打を放った左打者は二塁ベース上から、三塁ベンチに向かって笑顔を投げかける。
「絶対に(打席が)回ってくると思って準備していた。初球から積極的にいこうと思っていたし、絶対に打つと決めていた」。インタビューに答えるヒーローの力強い言葉に、球場を包む歓声はしばらくやまなかった。
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■重圧と戦いながら
スポーツ各紙には、岡田彰布監督の言葉が踊る。「でっかい勝ち。大きいより、もう1つ上や」。
指揮官でさえ、イメージするのが難しかった白星で、貯金は今季最多の13まで増えた。その立役者が極度の不振から抜け出し、本来の輝きを放ち始めている佐藤輝というのも、チームにとってはこれ以上ないプラス材料だ。
横浜スタジアムで行われたDeNA戦での場外弾、ベルーナドームで飛び出した西武戦の1試合3本塁打。ルーキーイヤーの2021年シーズンの衝撃は、多くのファンの脳裏に焼き付いて離れない。
ホームランアーティストとしての役割を宿命付けられた重圧と戦いながら、懸命にバットを振り続けてきた努力が新しい花を咲かせようとしている。
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■執筆者プロフィール
前嶋光太郎:1970年島根県出身。幼い頃からスポーツや芸能の世界に興味を持ち、高校ではミスタータイガース・掛布雅之氏にあこがれて甲子園を目指した。
大学卒業後は新聞社に就職。警察や行政などを担当した後、スポーツ記者として野球やゴルフ、テニスなどを中心に取材。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の取材が転機となり、プロ野球の魅力を伝えたいと2010年にフリーへ転身した。現在は大阪を拠点に、しばらく中断していた執筆活動を2022年末から再開している。
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(取材・文/Sirabee 編集部・前嶋光太郎)