中国が半導体の材料・ガリウムとゲルマニウムの輸出を規制 日本企業にも影響の懸念
7月に入って中国が欧米や日本を狙って貿易規制。米主導の半導体輸出規制に対する報復措置か。今後、米中間では貿易戦争がエスカレートする可能性も。
中国は7月、半導体の材料となる希少金属であるガリウムとゲルマニウムの輸出規制を発表した。それらはスマートフォンの顔認証に使っている面発光レーザーや液晶テレビのバックライトなどの白色発光ダイオードなどに欠かせない物資で、日本は輸入するガリウムの多くを中国に依存しており、半導体関連の日本企業にも影響が出るとされる。
■貿易めぐり白熱する米中対立
中国のこの規制発表の背景には、昨年バイデン政権が先端半導体分野で対中輸出規制を実行したことがある。
中国は軍の近代化を進めるにあたり、その心臓部分となる先端半導体の獲得を目指しているが、米国は中国が先端半導体の技術を獲得し、その自国産化によって軍のハイテク化を押し進めることを警戒しており、昨年の対中規制はそのためのものとなる。
それから少し月日が経ったが、今回の輸出規制は米国へのけん制を狙ったものだ。中国元政府高官は、ガリウムなどの金属輸出規制は始まりに過ぎず、今後も大きな被害を与えると警告している。
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■日本は大丈夫か
日本は今年に入り、中国への先端半導体輸出規制に同調してくれと要請してきた米国に頷き、7月に先端半導体関連の輸出規制を中国に対して開始する。
しかし、中国はそれに対して極めて怒っており、今後は米中だけでなく日中の間でも貿易摩擦が拡大する可能性がある。
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(取材・文/Sirabee 編集部・セレソン 田中)