イギリスも加盟したTPP 自由貿易拡大は「戦争回避」に直結する重要なファクターだ
【舛添要一『国際政治の表と裏』】イギリスのTPP加入が正式決定した。そこには経済だけでなく、政治的にも重要なポイントがある。
■ワインが安くなった
関税が下げられたり、無くなったりする自由貿易の恩恵は、私たちの日常生活を見てもよく分かる。輸入品が安くなるのである。たとえば、ワインである。2019年にはEUやチリから輸入するワインの関税がゼロになった。スーパーではチリや欧州のワインが安価に入手でき、しかも味も良い。
私は若い頃フランスをはじめヨーロッパで生活したので、ワインは食事には欠かせない。かつては1本3,000円くらいの価格だったワインが、今では1,000円も出せば買うことができる。そうなると、日本酒よりも安くなる。それに、種類も豊富になっている。ありがたいことである。
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■自由貿易こそ戦争回避の道
第二次世界大戦に至る経過を見ると、まず自由貿易が廃れ、保護貿易主義が拡大する。そして、ブロック経済となり、それは戦争の引き金となる。
グローバル化とは、人、物、カネ、情報が国境を越えて自由に流通することである。パスポートを提示することもなく、自由に国境を越えてヨーロッパ大陸をドライブすることができる。それがヨーロッパ統合の成果である。
ウクライナ戦争の結果、世界の分断が拡大している。それに歯止めをかけるためにも、一日も早い停戦が必要である。自由貿易と平和は表裏一体である。
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■執筆者プロフィール
Sirabeeでは、風雲急を告げる国際政治や紛争などのリアルや展望について、元厚生労働大臣・前東京都知事で政治学者の舛添要一(ますぞえよういち)さんが解説する連載コラム【国際政治の表と裏】を毎週公開しています。
今週は、「TPP」をテーマにお届けしました。
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(文/舛添要一)