カラフルな着火剤、材料は「皆の嫌われもの」だった 全キャンパーを救う性能に感動…
愛媛県今治市発の着火剤「今治のホコリ」。ネット上では、この商品を「天才の発想」と絶賛する声が続出している。
8月に入り、家族や友人、あるいは一人でキャンプに行く人も多いことだろう。調理や暖を取る際、火起こしは欠かせない。着火剤には、固形やジェル状のものなど、様々なタイプがある。
最近注目を集めている着火剤の材料は、少々変わっていて…。
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■カラフルな着火剤、その材料は…
昨年2月、愛媛県今治市の染色加工会社「西染工株式会社」が着火剤を発売した。着火剤の名前は「今治のホコリ」。同商品の材料は、なんと会社や工場、自宅で目にするあの「ホコリ」だ。
染色後のタオルを乾燥させる際、機械のフィルターに付着した綿ホコリを改良し、着火剤に生まれ変わらせた。一般的な着火剤はどちらかというと暗い色のものが多いが、「今治のホコリ」はブルー、パープル、ピンクと非常にカラフル。
普段、我々がよく目にするあのホコリとは思えない。
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■ネット上でも称賛の声相次ぐ
何とも画期的な商品はネット上でも話題に。「着火材入れる時、これが出てきたら絶対盛り上がる」「捨てられてたモノが輝く世界…好き」「昔、工場の経営者がホコリはまるで導火線と言ってたけど、それを利用するのは天才すぎる」など、ユニークな発想を絶賛する声が続出。
また、「着火のしやすさと燃焼時間も充分なので愛用しています」「めっちゃ火付き良い上にカラフルなのも最高」「これ、驚くほどよく燃えるんだよな」と、実際に使用したキャンパー達も性能を認めている。
「今治のホコリ」はいかにして爆誕したのか。“生みの親”である西染工株式会社に取材したところ、「意外な裏側」が明らかになったのだ。
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■「逆転の発想」が最高すぎる…
西染工株式会社の担当者によると、趣味のキャンプが開発のきっかけだったという。
「かねてから、廃棄物の削減ができないかと考えていました。キャンプの焚き火の際、ふと廃棄物だったホコリが着火剤にならないかという考えが浮かんだんです。ホコリは、タオル関連会社では火災の原因となり、燃えやすい厄介者です。ただ、火が着きやすい事を逆手に取れば、ライターなどで火を起すのではなく、火花で火を起し焚き火を楽しめないかと考えました」(担当者)。
ホコリは家庭でも景観を損ねる上、コンセントとプラグの隙間に溜まることで火災につながる危険があるなど、皆の嫌われものだ。ただ、火災の原因になるのは、それだけ火が付きやすいということ。
そのホコリの特性を利用するとは、まさに「逆転の発想」である。
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■色には強いこだわりが…
ホコリ自体は、灰色で決して見映えのいいものではない。着火剤にする際、色には特にこだわったという。
「弊社は染色業ですので、色が強みです。この色を全面に出せる販売形態を考えました。外から色が見えるようにするには、プラスチック製の容器になります。サステナブル(SDGs)商品のため、プラスチックを使って良いのか悩みましたが、詰替え用のホコリを紙袋で販売し、プラスチック容器をずっと使って頂くようにしてクリアしました」(前出・担当者)。
バリエーション豊かな色は、20代の女性社員の意見を参考にしたそうだ。社員一丸で作り上げたことが窺える。
発売から1年経ち、売れ行きも好調だという。前出の担当者からは、「発売当初から比較すると、出荷数換算で現在は約20倍になります。今治出身の方に『今治』という商品名から買っていただいたり、上京している家族に贈るなど、幅広くご購入いただいております」という喜びのコメントが寄せられている。
この夏、キャンプに繰り出す際は、ぜひ今治が誇る着火剤を持って行ってほしい。
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(取材・文/Sirabee 編集部・斎藤聡人)